せっかくプレゼンの内容がきっちり決まっても、肝心の決裁者に理解してもらわなければ何の結果にも結びつきません。そこで決裁者向けの概要書である「エグゼクティブサマリー」を作ってみましょう。ペーパーは1枚だけ。「図解プロット」を効果的に。
聞き手の中にはプレゼン内容に対して最終判断を下す決裁者が含まれている場合もあります。こうしたディシジョンメイカー(決裁者)は、大変忙しく、時間に対してせっかちな人が多いのも事実。途中で退席する可能性も十分ありますから、いざというときに手短に概要を伝える準備も大切です。
投資家に事業計画をプレゼンする場合には、必ず、提案書の冒頭に「エグゼクティブサマリー」というシートをつけます。これは文字どおり、「決裁者のための概要書」ということで、本題で説明する内容をかみ砕き、要点だけを列挙した1ページの要約文です。
エグゼクティブサマリーは短時間で要点を伝えることにありますので、聞き手が投資家でなくても、プレゼン全般に使える手法です。また、プレゼン時間をはじめから短く設定し、1枚企画書で勝負する手もあります。
エグゼクティブサマリーは本来、文章主体で表現するのが定石ですが、私は一目で提案が理解できる図解プロットを使うこと強くオススメします。
どんな現実に対して、どのような提案があり、その結果、どのような理想的未来が期待できるのか、というプレゼンの骨子そのものがエグゼクティブサマリーで表現できればよいからです。プレゼン図解思考の基本形である、構想の要素を1枚にまとめればよいので、枚数の多いパワポを作るよりも、効率的です。
ビジネスでは結論から説明し、相手が興味を持ったら、さらに詳細を説明するのが鉄則。まずは決裁者に興味を持ってもらうことが先決なのです。その点で、図解プロットはエグゼクティブサマリーそのものなんですね。
筆者 何事も、どれだけ少ない情報にメッセージをまとめられるか――がその人のコミュニケーションスキルになると思います。プレゼンも、報告も、冗長でポイントのあいまいな説明だけは避けたいものですね。
パワポの前に「図」で考える――。ベストセラー『頭がよくなる「図解思考」の技術』の第2弾となる本書は、プレゼンテーションの根幹とも言える「メッセージをどう作り、どのように伝えるのか」を図で整理する方法を解説しています。
「見栄えのいいスライドを作ること」や「説得力のある話し方をすること」も当然大事ですが、プレゼンの目的(メッセージ)そのものが洗練されていなくては、聞き手の心には届かないからです。営業プレゼンテーションや講演に限らず、ちょっとした説明や商談、または報告などにも応用可能で、あらゆるビジネスシーンで活躍するはずです。
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
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