モチベーションはプロジェクトで回復するあなたの不安、見積もります

プロジェクトからトップダウンでやるべき事をどんどんリストアップし、必要に応じてアクションを小分けにして階層化する手法は使い勝手がいいですが、実際に作業する時になると、リストを見た途端にやる気がなくなることはありませんか。

» 2010年12月28日 09時00分 公開
[佐々木正悟,Business Media 誠]

 知り合いの編集者が「書籍企画を練っている間は、とてもやる気に満ちているのに、小見出しを付けたり、目次を直したり、修正案をメールするような具体的な作業を始めようとすると、とたんにやる気がなくなってしまう」とこぼしていました。

 「OmniFocus」をはじめとするタスク管理ツールの特徴は、プロジェクトからトップダウンでやるべき事をどんどんリストアップし、必要に応じてアクションを小分けにして階層化するというもの。とても人気がありますし、使い勝手もいいものです。

 ただ、タスクのリストアップと階層化という作業は、それをやっている間は確かに気持ちいいものですが、実際に手に入れた行動をいざ取ろうとすると、まったくやる気がしなくなっていることがあるから、不思議です。

 ここで、覚えておくといいことが2つあります。

  • モチベーションはプロジェクトにある
  • モチベーションはコンテクストで損なわれやすい

 いざ何かをしようとするとき、私たちはたいてい今いる場所、現在時刻、使っているツールなどの「コンテクスト」に縛られています。コンテクストというものは、プロジェクトとは本質的にはあまり関係がないので、モチベーションにとってはむしろ制約として働くのです。

 モチベーションは、目的と深く関わります。ですから、モチベーションの源泉は、プロジェクトにひそんでいるのです。いつ、どこで、誰と、どんな仕事と一緒に、いつまでに、という類のコンテクスト情報は、非常に大切ですが、そちらに意識が向きすぎると、やる気がしなくなっていきます。

 モチベーションをなるべく高く保つためには、プロジェクトの先頭に「何のためにこの仕事をするのか」を明記しておくと後で救われます。やる気がなくなったらすぐにタスクのプロジェクトを確認し、次のような「目的」を再認識するためです。

 繰り返しになりますが、できるだけ「コンテクスト」に振り回されないようにするためにも、同一のプロジェクトに集中して取り組んだ方が、やる気を損なわないでしょう。時間帯や場所によって、できることは限られていますから、コンテクストに作業が選定されてしまうのは当然ですが、コンテクストの影響を少なくするほど、やる気アップには役立ちます。

 その意味でも、タスク管理ツールは、タスクが属しているプロジェクトを、すぐ確認できる方がいいでしょう。プロジェクト属性を持たないタスクもたくさんあると思いますが、面倒でもできるだけプロジェクト属性を持たせておくと、先送りが減っていきます。「このタスクは何のため?」という自問に、即座に答えられると、前に進める気持ちも高まるからです。

マインドハック研究会(1月20日)のお知らせ

 1月20日にマインドハック研究会を開催します。テーマは「時間管理」です。

 どうしてこう、時間が足りないのか?

 永遠の真理として、人は「時間を増やす」事ができません。現代は、明らかに誰もが「時間不足」に悩んでいるはずです。それでも、平等に与えられた24時間を上手に「やりくり」して、想像もできないほど成果を上げている人たちがいます。

 どうすればそういった人たちに迫ることができるのか?

 その鍵は「時間管理の心理」にあると私は思っています。なぜなのかははっきりしないが、いつも「翌朝にしよう」と思うことがあります。あるいは、やろうと思ったときには簡単そうだったのに、いざやるタイミングでは、手の付けられそうもないことに見えてきます。さらには、時間が足りないことが不安で仕方なく、つい気晴らしに走ってますます時間を失うことがあります。

 これらはいずれも心理的な要因です。ですから、こうした心理的な悪影響を排除すれば、もっと時間のゆとりを持つことも可能になるわけです。

 「時間を上手にやりくりしたい」と切望するすべての人に、ご参加いただければ幸いです。お時間の許す限り。

 お申し込みはこちらから


筆者:佐々木正悟

 心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


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