プレゼンテーションのプロットをシナリオに落とし込むとき、図解思考ならではの形になりました。それが「合体ロボ」です。それぞれの図解が頭や胴体、手足のように見えてきたら、作戦開始!
前回は、図解を使ってプレゼンのプロット(構想)をまとめてみました。しかし実際の現場では、これを順を追って説明するだけではダメ。プロットは、それをむき出しにして説明するのではなく、聞き手に分かりやすく、より印象に残るようなシナリオに組み立てるべきです。プロットを実際のプレゼンのシナリオに当てはめた形が下の図です。
これって何かに似ていませんか? 私は、最初に見たときから「これは合体ロボだ!」と思ったのです。さまざまな別のマシンが変形し、合体すると1つの大型ロボットになるというやつです。そこで、私はこれを勝手に「プレゼンの合体ロボ作戦」と呼んでいます。
合体ロボは頭、胴体と手足、台座という3部構成です。これは、プレゼンのシナリオで言えば、イントロダクション(序論、プロローグとも言います)、ボディ(本論。いわば提案の核心部分)、クロージング(結論、まとめ、プレゼンの締めくくりのことです)に当たります。そして、ロボットの各パーツが、プロットの1つのトピックを表しています。
もう少し、詳しく説明しましょう。頭部分は「イントロダクション」と呼ばれる部分で、自己紹介、本日のテーマ、全体のアウトラインなどが含まれます。一方、台座部分は「クロージング」。プレゼンの締めであり、「次へのアクション」と結びついています。全体のポイントを再確認してもらい、具体的な行動につなげましょう。質疑応答もここに含みます。図解プロットで説明したコア部分は、頭と台座にはさまれたボディ部分。プレゼンの骨子はすべてここに格納しています。全体の流れは、イントロ、ボディ、クロージングと、上から下へ進む――というわけです。
プレゼンの目的や規模に応じてトピックの数や順番は多少変わっても問題ありません。しかし、どのようなプレゼンであってもイントロ、ボディ、クロージングという大きな流れは共通です。
テニスや野球のバッティングにたとえるなら、最初のステップでは十分にボールを体に引きつけておき、次に正確にボールを打つ、そして、ボールを追うようにフォロースルーするのが正攻法です。必ずテイクバックとフォロースルーがなければ、正確にボールを目的地に打ち返すことができません。
これはプレゼンも同様です。つまり、最初に聞き手を引きつけ、続いて正確に聞き手のニーズをとらえて気持ちに火をつけ、最後に期待されるアクションにつながるようにフォローしてあげる――というステップが重要なのです。
筆者 昔はよくテニスをやったものです。いつも先生に、フォロースルーが足りないと怒られました。プレゼンで言えば、最後のシメにあたる部分です。フォロースルーのキレイなプレゼンは、聞き手の記憶に深く刻まれます。次回は「スライドのラフを描く」です。
パワポの前に「図」で考える――。ベストセラー『頭がよくなる「図解思考」の技術』の第2弾となる本書は、プレゼンテーションの根幹とも言える「メッセージをどう作り、どのように伝えるのか」を図で整理する方法を解説しています。
「見栄えのいいスライドを作ること」や「説得力のある話し方をすること」も当然大事ですが、プレゼンの目的(メッセージ)そのものが洗練されていなくては、聞き手の心には届かないからです。営業プレゼンテーションや講演に限らず、ちょっとした説明や商談、または報告などにも応用可能で、あらゆるビジネスシーンで活躍するはずです。
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
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