オバマ、ジョブズ、池上彰――。残念なプレゼンとは逆に、これまであなたが見たプレゼンテーションで、「思わず話に引き込まれた」という人を思い出してみてください。
残念なプレゼンとは逆に、これまであなたが見たプレゼンテーションで、「思わず話に引き込まれた」という人を思い出してみてください。身近な人でも、有名人でも結構です。さて、何人かイメージできましたか?
私がプレゼン上手と聞いて、真っ先に思い出すのはバラク・オバマ大統領やアップルのスティーブ・ジョブズCEOです。彼らのプレゼンスキルに関しては、マスコミもとり上げているので、異論のある人はいないでしょう。
一方、日本国内ではどうでしょう? テレビでよく見かける有名人としては、ジャパネットたかたの高田明社長、最近活躍されているジャーナリストの池上彰さんなんかも、思わず引き込まれるプレゼンターだと思います。
さて、数人思い浮かべたところで、彼らの共通点を考えてみてください。「分かりやすい説明」「話にインパクトがある」「具体的でイメージしやすい」「ビジュアルを駆使して一目で理解できる」……いろいろありますね。しかし、これらの共通点を一言でまとめるとすれば、次のような言葉になるのではないでしょうか?
「思わず納得しちゃう!」
そう「納得力」です。 強要された意味合いを持つ「説得力」ではありません。聞き手が自ら積極的に提案に同意して、アクションにつながる力のことです。彼らの言葉、声、身振り、スライドやビデオ、表情……すべてに納得させる力があるのです。そして、私たちは「大統領を支持し、この法案に賛同したい」「iPadを買いたい」「ジャパネットに電話したい」と思うのです。
1つは「分かりやすさ」です。「分かりやすさ」のプロである池上彰さんは「NHKの『週刊こどもニュース』でそのスキルが磨かれた」、と言っています。つまり「分かりやすさ」には、子供に話すように、難しい用語を使うことなく、メッセージをシンプルにまとめることができ、なおかつ論理的に説明できるスキルが必要だということです。
2つ目は「信頼性」です。提案内容にも、それを伝える人にも信頼がおけなければ、商品購入や自分の重要な判断をゆだねることはできません。「なるほど理解はできたが、納得はできない」ということになってしまいます。
3つ目は「共感性」です。人間は、感情を持つ生き物です。頭で分かっていても、感情が反対すると判断できません。そのために、聞き手個人としてプレゼン内容に共感してもらう必要があるのです。
筆者から 昔、むりやり長時間に渡って「説得されて」高額な英語教材を買わされたことがあります。自分で「納得」していないので、イヤーな気分が残り、結果として返品することになりました。だからこそ、「説得する」のではなく、「納得させる」ことが大事なんですね。次回は、「構想がすべてのキーになる!」です。
パワポの前に「図」で考える――。ベストセラー『頭がよくなる「図解思考」の技術』の第2弾となる本書は、プレゼンテーションの根幹とも言える「メッセージをどう作り、どのように伝えるのか」を図で整理する方法を解説しています。
「見栄えのいいスライドを作ること」や「説得力のある話し方をすること」も当然大事ですが、プレゼンの目的(メッセージ)そのものが洗練されていなくては、聞き手の心には届かないからです。営業プレゼンテーションや講演に限らず、ちょっとした説明や商談、または報告などにも応用可能で、あらゆるビジネスシーンで活躍するはずです。
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
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