「断られたくない」気持ちが成果を遠ざける――ポイントは1つだけ研修に行ってこい!(2/2 ページ)

» 2010年09月07日 16時00分 公開
[原田由美子,Business Media 誠]
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 仕事ができる上司や先輩社員から見ると、いまひとつ分かりにくいかもしれません。とはいえ「断られたくない」と考える営業担当者は多くいます。特に、受け身傾向の強い人ほど、その傾向は顕著。断られることで自分が否定されたような感覚を持ったり、訪問先がなくなることを恐れて断られないことで関係性を切らないようにしたりするという心理です。そのため、あいまいな形で訪問を終えてしまうのです。

 こうした営業担当者に対しては、どのように指導していけばよいでしょうか。

断られることで得るもの

 誰でも「NO」と言われるのは嫌なもの。仕事ができる上司や先輩であっても同じことです。異なるところがあるとすれば、仕事のできる人は「NO」と言われた時に、次に進めることを知っていることです。

 つまり「NO」の理由を知ることです。例えば「すでに同様の商品やサービスを活用している」「商品やサービスを使う余地がない(関心がない)」「予算がない」「タイミングが違う」「意思決定者が違う」――などなど。別に自分を嫌っているわけではないことはもちろんのこと、理由が分かれば、それに応じて次のアプローチ方法を取れることが分かっているのです。

 ですが「断られたくない」という人は、そのことが分かりません。もしくは頭で理解はできても、心理的な抵抗感を払しょくできません。こうした場合、以下のような手順がオススメです。

 まず、結論が出ていない案件すべてに結論を出してもらいます。1件1件電話をかけさせて、「先日ご案内した件について、その後どのような状況でしょうか」と聞いてもらいます。多くの場合は厳しいものとなりましょう(筆者の経験では、全滅のこともありました)。1件1件結論の理由を確認しながら、淡々と進めましょう。

 結果が厳しければ厳しいほど、部下や後輩は落ち込むはず。ですので全案件を完了したところで、心理的な負担を軽くします。ここは上司や先輩の失敗経験を伝えることが最も有効です。例えばスランプだった時の気持ち(焦りや不安)。どのように乗り越えたのか、乗り越えて、どのようなことが分かったのかなどをゆっくり伝えます。

 成果が出ていない人は、成果が出ている人が、スランプを抱えていたことがあるということに気付きません。自分だけで焦り、不安を感じ、自信を失くしています。そのため、前に進めないのです。そこで上司や先輩も、同じように悩んだり、焦ったり、自信を失くしてきたことを伝えれば、気持ちが和らぎます。その上で、あらためて必要な支援(営業同行する、商談のトレーニングをする)などを行い、商談の締めくくりをしっかりする習慣をつければ、成果は必ずついてきます。


 努力が実っていない人ほど、心理面での課題を抱えていることが多いものです。まずは、今までの仕事に一区切りつけ、心理面からアプローチしてみてください。

著者紹介:原田由美子(はらだ・ゆみこ)

 大手生命保険会社、人材育成コンサルティング会社の仕事を通じ、組織におけるリーダー育成力(中堅層 30代〜40代)が低下しているという問題意識から、2006年Six Stars Consultingを設立、代表取締役に就任。現在と将来のリーダーを育成するための、企業内研修の体系構築、プログラム開発から運営までを提供する。

 社名であるSix Starsは、仕事をする上での信条として、サービスの最高品質5つ星を越える=クライアントの期待を越える仕事をし続けようとの想いから名付けた。リーダーを育成することで、組織力が強化され、好循環が生まれるような仕組みを含めた提案が評価されている。


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