本当にGoogle Appsでいいの? 各社のWebメールサービスを比較する今さら聞けないWebメール

最終回はGoogleをはじめとする各社のサービスを紹介する。あなたの会社にとって利便性が向上するWebメールを導入して、ぜひビジネスの役に立ててほしい。

» 2010年06月30日 16時04分 公開
[鷹木創,Business Media 誠]

 というわけで、不定期連載してきた「今さら聞けないWebメール」特集も今回が最終回。Webメールの仕組みを説明した初回、機能的なメリットを紹介した第2回、デメリットをどうやって回避するかを解説した第3回に続く、最終回はGoogleをはじめとする各社のサービスを紹介しよう。

 なお、各サービスはWebメールの利点を最も引き出すIMAP形式に対応し、中小企業の担当者の負担を減らすアウトソース事業者という観点で選んだ。想定する中小企業は500人未満の企業規模とする。

Google Apps

 まずは「Google Apps」。Webメールサービスとして「Gmail」が利用できるほか、グループのスケジュール管理ができるGoogleカレンダーや、Officeドキュメントの共有ができるGoogleドキュメントなども使える。無料体験版や最低限の機能が使える「Standard Edition」のほか、1ユーザーあたり25Gバイトのメール容量やSSL通信、365日24時間体制のサポートサービスなどが付いた「Premier Edition」を用意している。

Google Apps Premier Edition
項目 初期費用 年間費用 容量 最大ユーザー数
内容 無料 1ユーザーあたり6000円 1ユーザーにつき25Gバイト 無制限
備考 月額500円

項目 セキュリティ機能 メールアーカイブ カスタマーサポート
内容 Googleの企業向けのホスティング型セキュリティ/アーカイブサービス「Postini」を拡張して迷惑メールフィルタリング機能を強化 SSL通信 最長10年間メールを保管 365日24時間
備考 送受信のメールもフィルタリングするため、ウイルスメールの受信や送信メールによる情報漏えいも防ぐという 電話、メールにて対応。オンラインドキュメントも用意。

feedpath Mail

 「高機能なGoogle Appsは魅力的だけど、インタフェースは慣れ親しんだOutlookなどのメールソフトに似たものがいい」という人も多そうだ。そんなインタフェースにこだわったのが「feedpath Mail」。Ajaxを駆使したインタフェースでOutlook感覚で操作できる。またサイボウズをはじめ、SkypeやGoogleマップなどとも連携可能だ。

feedpath Mailベーシックプラン(300〜499ユーザー)
項目 初期費用 年間費用 容量 最大ユーザー数
内容 5万2500円 1ユーザーあたり1万1340円 1ユーザーにつき10Gバイト 499
備考 月額1050円(年額契約だと10%オフ) 月額契約の場合は1Gバイト 別途大規模向けプランあり

項目 セキュリティ機能 メールアーカイブ カスタマーサポート
内容 アンチスパム「SpamAssassin」
アンチウイルスソフト「ClamAV」
SSL通信 標準1年保存 平日9時〜18時
備考 添付ファイルはHTMLに変換して無害化。万が一ウイルス感染した添付ファイルを開いても、PCへの感染を防ぐという 最長3年の保存が可能 ただしデータセンターは24時間有人監視

ALL in Oneメール

 コストパフォーマンスに優れるのがエアネットの「ALL in Oneメール」。300ユーザーのプランで合計で月額14万2800円(1ユーザーあたり476円)、500ユーザーのプランでは同16万8000円(同336円)とGoogle Appsよりも安く利用できる。容量は全体で300Gバイト+アーカイブ領域100Gバイトの合計400Gバイトで、アーカイブを利用しない場合は400Gバイト全体をメール容量として利用できるのもお得。

 オプションで「メール誤送信防止」も用意している。まずは低コストで始めたい企業におすすめだ。

ALL in Oneメール(300ユーザー)
項目 初期費用 年間費用 容量 最大ユーザー数
内容 無料 1ユーザーあたり5712円 300ユーザー全体で300Gバイト 300
備考 現在キャンペーン中 月額476円 アーカイブを利用しない場合は+100Gバイト 別途大規模向けプランあり

項目 セキュリティ機能 メールアーカイブ カスタマーサポート
内容 アンチスパム「CLOUDMARK」「SVM」
アンチウイルスエンジン「F-Secure」
SSL通信 最長3カ月間ダウンロード可能 24時間365日(障害対応)
備考 オプションで「メール誤送信防止」も用意。添付ファイルを自動的にパスワード付暗号化する設定や、送信メールを一定期間保留できる 別途SSLサーバ証明書の購入が必要 データは一般的なメールのファイル形式である「eml」形式で日ごとに圧縮、保存。1日単位でダウンロード可能 電話・メールによる対応は平日10時〜12時、13時〜18時

Mail Luck!

 添付ファイルを含む社内外の送受信メールをすべてを保存するというメールの保存/監査機能が優れているのがNTTPCコミュニケーションズの「Mail Luck!セキュアタイプ」。しかも、保存している領域は管理者であっても削除、改ざんできない高セキュリティの保存領域で、万が一の際に証跡となり得る客観性を保ったメールの管理が可能だ。また、添付ファイルの内容を確認しない限り、送信できない承認フローも設定できる。

Mail Luck!(セキュアタイプ300)
項目 初期費用 年間費用 容量 最大ユーザー数
内容 31万5000円 1ユーザーあたり1万4700円 1ユーザーあたり100Mバイト 300
備考 月額1225円 保存領域全体としては60Gバイト 別途大規模向けプランあり

項目 セキュリティ機能 メールアーカイブ カスタマーサポート
内容 アンチスパム「Symantec Brightmail AntiSpam」
アンチウイルスエンジン「Symantec」
SSL通信 全メール 24時間365日(電話にて障害対応)
備考 添付ファイルの内容を確認しない限り、送信できない承認フローも設定できる 別途SSLサーバ証明書の購入が必要 技術対応はメール窓口を用意

 というわけで簡単に4つのサービスを比較してみた。いずれもモバイル対応しているWebメールサービスなので、いつでもどこでもメールを確認できるのはうれしい。

 選ぶとすれば、Googleの先進的なサービスやGmailのインタフェースが好きならばGoogle Apps、Outlookのような見た目や操作感、サイボウズなどとの連携を希望するならfeedpath Mail、まずは低コストで始めてみたいならALL in Oneメール、セキュリティを重視するならMail Luck!――というところだろうか。

 メールは今やビジネスの中核となるツール。あなたの会社にとって利便性が向上するWebメールを導入して、ぜひビジネスの役に立ててほしい。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ