すきま時間を黄金に変える15分集中法結果を出して定時に帰る時短仕事術

そもそも人間はどのくらい集中力を維持できるものなのでしょうか。短期集中力を発揮しやすい15分単位で作業をするとはかどります。この15分集中法にのっとって仕事を進めるコツをご紹介しましょう。

» 2010年06月29日 11時00分 公開
[永田豊志,Business Media 誠]

 同時通訳者は、1人で1時間の通訳をやったりはしません。必ず、一定のインターバルを置いて数人で交替します。かつて同時通訳の方を雇った際に、こんな話を聞きました。

 わたしたちは極度に集中力を高めておかなければならないので、およそ15分単位で交替します。


 『「集中脳」をつくる30の方法』(中経出版)の著者で、諏訪東京理科大学教授(脳システム論)の篠原菊紀さんも、「理想的な単位は15分」と提唱しています。15分×何コマというようにタスクを管理すれば、無理なく、生産性を高めることができるというのです。ただし、継続して同じことを行う場合、90分を超えると極端に効率が落ちるので注意が必要です。

短期集中力を発揮しやすい15分単位で1つのタスクを処理すると、効率よく作業を続けられます。しかし、同じ作業内容は間に休憩を入れても飽きてしまいます。最大でも15分×6コマ=90分を目安としましょう

15分単位で小さい目標をどんどん達成する

 かくいう筆者も集中力を必要とするタスクで、なおかつ長時間かかるものは「およそ15分単位×何コマ」というように分割して、仕事を行っています。

 もちろん集中力の持続する時間には個人差があります(イタリアのポモドーロ法では25分という時間ユニットを使っています)。さらに作業内容や環境でも集中できる時間は変わるでしょう。ですから、自分の集中できる時間単位、時間帯を把握し、短時間で集中状態にもっていくための方法を身につけておきましょう。

 集中するコツは、タスクを短く設定し、小さい目標をどんどん達成することです。やる気が出るようなモチベーションキーワードなどを見えるところに貼っておくのもよいでしょう。そして、仕事に不要なノイズ(視界にはいる気の散る要素や周囲の話し声など)を排除しておけば、集中しやすい環境を作ることができます。

集中力を邪魔するノイズは作業環境から取り除いておきます。視覚、聴覚ともに、集中作業に関係のないものは排除しましょう。また、一方で集中するために、なるべく小さな目標をどんどんクリアするようにし、短時間で成果が出るようなタスク管理を行います。モチベーションを高めるための言葉を貼っておくのも手です

創造的か、単純か――「すきま」はランダム、「じっくり」は自分にアポ

 やるべきと決めたタスクは、所要時間で2つに分類できます。「最強フレームワーカーへの道」でもこれまで何度か紹介していますが、「すきまアクション」と「じっくりアクション」です。

 「すきまアクション」は数分で完了できる作業レベルのもので、あまり思考力や集中力を問わないもの。すきまアクションは1つのアクションが独立していて、ほかに影響しづらく、断片的な処理が可能なタスクです。

 一方、「じっくりアクション」は長時間かかるタスクで、たっぷり頭に汗をかかなければならない創造的な業務、集中力が必要なもの。ただし、継続的に行うのは集中力の目安に従い、最大90分までとします。

 「すきまアクション」で処理できることは計り知れません。未読メールの閲覧と返信、ToDoリストの更新、取引先にアポをとる、ビジネス書の1章分を読む、提案書の目次を作る……などなど。断片的な作業なので、気分が乗らない時にも気軽にでき、その多くは「移動中」「ちょっとした待ち時間」に処理できるのが特徴です。

 「すきまアクション」はいつでも好きなところから実行できるようにリスト化しておきます。移動中に処理することが多くなるため、携帯すべきデバイスもしっかり整備しておく必要もあります。

 一方、「じっくりアクション」は、事前にMyスケジュールに入れておき、まとまった時間をあてます。本来、オフィスあるいは書斎で行うべき作業ですが、電話や周囲の話し声で集中できない場合は、カフェなどに移動してもよいでしょう。

そして、集中力の限界を考慮して最長90分までとし、15分単位でひと息入れるのが高い生産性をキープするコツです。

「すきまアクション」は、ちょっとした空き時間に処理でき、ほかのタスクと関連性の少ない断片的なタスクです。一方、長時間かかる創造的な業務などは「じっくりアクション」。あらかじめスケジュール内に「予定」として組み入れておき、集中します

ToDoを見直すのは、1日3回“自分だけの作戦会議”

 ToDo管理は、そもそもタスクの取りこぼしを未然に防ぎ、効率的に作業を実施できるようにするのが目的です。しかし、実際に仕事を始めると、上司から仕事を依頼されたり、新しい課題を思いついたりするものです。つまり、タスクは生き物で、日常的に増えたり、減ったりするものです。

 そのため、ToDoリストの見直しは、日に最低3回は行うことをおすすめします。リストを確認する回数の少ない人は、意識してチェックするようにしましょう。ただし、リストの見直しはタスクのヌケ、モレをなくすことが目的ですから、あまり時間をかける必要はありません。せいぜい10分程度でOKです。

 リストの見直しを習慣化するためには、日に何度も見るようなメール画面の脇にタスク管理ソフトを配置すると便利です。そして、始業前、ランチの後、終業時などチェックするタイミングを自分でルール化します。

 例えば、朝は始業前に1日のスケジュールとタスクを確認。メールなどをチェックして、追加すべきタスクがあれば、リストを修正します。サイズの大きなタスクはスケジュールの中に入れ、それ以外の細切れタスクは、すきま時間に処理します。

 昼食後に、午前中の仕事の進み具合や午後の予定などをにらんで、完了したタスク、延期したタスク、午後に追加するタスクなどを更新します。終業時には、本日の業務タスクがすべて完了しているはずですが、そうでなければ、明日以降に延期するのか、やらないのかを決めます。そして、明日以降に追加すべきタスクがあれば、それらを反映して退社します。

やることリストの見直しは、5分でも10分でもよいので、細かく行いましょう。進捗を確認して、その後に処理するタスクの優先順位を変える必要があるからです。いわば自分だけの「作戦会議」です

集中連載「結果を出して定時に帰る時短仕事術」について

 本連載は、6月26日発売の書籍『結果を出して定時に帰る時短仕事術』(ソフトバンククリエイティブ刊)から抜粋・再編集したものです。

 残業ゼロで成果を倍増する仕事効率化術――。と言っても、単に効率化だけではダメ。人生の価値マネジメントから始めるタスク管理としくみ作りを実践しましょう。「ワークライフバランス」と言っても単に時間バランスだけとっても意味はありません。

 ビジネスパーソンは、顧客の要望を上回る成果を出しながらも、自分の時間をしっかり確保して、プライベートの充実と自分の付加価値を高めるための将来に向けた事故投資を両立する必要があります。

 本書は、しっかり結果を出しながらも、将来の自分価値を高めるための「時短仕事術」を紹介しています。人生の価値感管理から日常生活のタスク管理まで、生産性戦争に打ち勝つためのテクニック満載です。

  • 1時間目:残された時間を価値あるものに
  • 2時間目:仕事も人生もうまくいく! 理想の時間割
  • 3時間目:最少の労力で最大の成果を上げる知的生産の方程式
  • 4時間目:必ず目標を実現する! スケジュール&タスク管理術
  • 5時間目:集中力が劇的にアップする!すきまアクションとじっくりアクション
  • 6時間目:時短の達人が教える! 生産性を高める小さな習慣
  • 7時間目:ITを味方につけなければ、生産性戦争に勝てない!
  • 8時間目:最短で問題解決するための時短思考のツール
  • 9時間目:チームの生産性が飛躍的に高まる! 時短会議のススメ
  • 資料編:時短の達人になるためのチェックリスト

著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)

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 知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。

 リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。

 近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。

連絡先: nagata@showcase-tv.com

Webサイト: www.showcase-tv.com

Twitterアカウント:@nagatameister


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