本の自炊を行う際、まず悩むのは取り込み設定をどうするかだろう。カラーページがカラーモードなのは当たり前として、白黒のページはグレーなのか、それともモノクロなのか。またこれらが混在した原稿はどうするか、といった点は、初めて自炊を行う場合は迷いがちだ。
ScanSnapの取込ユーティリティ「ScanSnap Manager」にはカラーモードの選択で「自動」というモードがあるので、これを選んでおけば万事解決……と言いたいところなのだが、筆者はこの「自動」は使わず、カラーモードごとに読み取り設定を作って、すべて手動で切り替えている。
というのもこの「自動」というモード、白黒ページの端に蛍光ペンでちょこんと跡がついているだけでカラーモードと判定されてしまったり、あるいは紙が黄ばんでいるためにカラーモードで読み取られてしまったり、些細な違いで白黒とグレーが切り替わったりと、なにかとデリケートなのである。まあ、これは取り込みユーティリティの性能の問題というよりも、紙の黄ばみ具合までスキャナに判定させること自体が酷なわけで、致し方ない問題だと思う。
筆者が用意している取り込み設定は4つ。「カラー」「グレー」「白黒」そして「カラー(カバー取込用)」の4つだ。各取り込み設定の具体的なパラメータは以下の通りだが、もちろんこれが唯一の解というわけではない。「そこはグレーじゃなくて白黒だろ」とか「解像度が無駄に高くね?」といったツッコミはあって当然なので、あくまで例としてみてほしい。ちなみに圧縮率は3で固定している。
設定項目 | 内容 |
---|---|
画質の選択 | スーパーファイン(300dpi) |
カラーモード | カラー |
読み取り面の選択 | 両面読み取り |
継続読み取り | オン |
白黒読み取りの濃度 | -- |
文字をくっきりします | オフ |
白紙ページを自動的に削除します | オン |
文字列の傾きを自動的に補正します | オフ |
原稿の向きを自動的に補正します | オフ |
原稿を上向きにしてセットします | オフ |
設定項目 | 内容 |
---|---|
画質の選択 | スーパーファイン(300dpi) |
カラーモード | グレー |
読み取り面の選択 | 両面読み取り |
継続読み取り | オン |
白黒読み取りの濃度 | -- |
文字をくっきりします | オン |
白紙ページを自動的に削除します | オン |
文字列の傾きを自動的に補正します | オフ |
原稿の向きを自動的に補正します | オフ |
原稿を上向きにしてセットします | オフ |
設定項目 | 内容 |
---|---|
画質の選択 | スーパーファイン(600dpi) |
カラーモード | 白黒 |
読み取り面の選択 | 両面読み取り |
継続読み取り | オン |
白黒読み取りの濃度 | -2 |
文字をくっきりします | オン |
白紙ページを自動的に削除します | オン |
文字列の傾きを自動的に補正します | オフ |
原稿の向きを自動的に補正します | オフ |
原稿を上向きにしてセットします | オフ |
設定項目 | 内容 |
---|---|
画質の選択 | スーパーファイン(300dpi) |
カラーモード | カラー |
読み取り面の選択 | 片面読み取り |
継続読み取り | オフ |
白黒読み取りの濃度 | -- |
文字をくっきりします | オン |
白紙ページを自動的に削除します | オン |
文字列の傾きを自動的に補正します | オフ |
原稿の向きを自動的に補正します | オフ |
原稿を上向きにしてセットします | オン「PDFフォーマットオプション」で「設定ページごとにPDFファイルを作ります」を選択(1ページ) |
紙が変色しているのをカラー原稿と判定されるのを防ぐため、文庫や新書、マンガの類は「グレー」もしくは「白黒」で取り込む。これによって背景の色を飛ばし、コントラストがはっきりした画像が得られる。経年劣化で変色が著しい本は、さらに白黒読み取りの濃度を多少いじってやる場合もある。JPEGで取り込んでPhotoshopなどでコントラストを調整するのも有効だが、実際そこまでやることは手間の関係でほとんどない。
「グレー」と「白黒」の使い分けだが、基本的に図版があれば「グレー」、文字だけなら「白黒」だ。ぶっちゃけ「グレー」に統一してもいいのだが、後述の通りファイルサイズがまるで違うので、図版のあるなしで切り替えている。なお「白黒」のみ解像度が600dpiと、「カラー」および「グレー」の解像度(300dpi)より高くなっているが、これは「白黒」の300dpiがかなり粗いために意図的に解像度を引き上げている。
解像度についてはMP3でいうところのビットレートのようなもので、個人のこだわりが出るところだが、上記の設定はおおむね「5段階でいうと4」にあたる。もうひとつ上の600dpi(白黒の場合はさらにその上の1200dpi)というのもあるが、ファイルサイズが大きくなりすぎるのと、以前Kindleで比較した場合にスクリーン上での見た目がほとんど変わらなかったことから、上記の解像度に統一している。ScanSnap S1500では、600dpi以上だと読み取り速度が毎分20枚から毎分5枚へとガクンと落ちることも、この解像度を用いている理由のひとつだ。
カバーや帯については、通常のカラーページとは異なり独自の取り込み設定を用意している。カバーは内向きに紙が反っていることが普通なので、通常とは逆にオモテ面を上にセットしてやることで、紙が反るのを抑えられ、影もつきにくくなる。そのため「原稿を上向きにしてセットします」にチェックを入れてオンにした上で、上を向けてセットし、読み取り面も片面だけにしている。また、数枚のカバーをまとめて取り込むことを前提に「PDFフォーマットオプション」で「設定ページごとにPDFファイルを作ります」を選択している。
なお、これはカバーを裁断せずにまるごと取り込んでからPDF上でトリミングする場合の設定であり、表紙/裏表紙/背表紙/折り返し(表紙側)/折り返し(裏表紙側)の5つに分割してから取り込む場合は、通常の「カラー」の設定を用いる。帯を両面テープでカバーに貼りつけてA3キャリアシートに挟んで取り込むといった場合も、キャリアシートが反りを防いでくれるので、通常の「カラー」を用いたほうがよい。
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