オーリックが新会社でモバイル広告マーケットプレイス事業を開始

AuriQ Systemsは6月3日、モバイルマーケティング事業に特化した100%出資子会社のmaqsを設立。7月1日から「モバイル広告マーケットプレイス」事業を本格的に開始する。

» 2010年06月03日 13時30分 公開
[鷹木創,ITmedia]

 AuriQ Systems(以下オーリック)は6月3日、モバイルマーケティング事業に特化した100%出資子会社のmaqs(マックス)を設立した。代表取締役CEOはオーリックの幾留浩一郎CEOが兼務。オペレーション統括の取締役(COO)には移動体通信総合研究所の前代表である木村潤氏が就任した。

拡大するモバイル広告市場だが……

木村潤COO

 オーリックでは、2008年から携帯サイト向け解析サービス「myRTモバイル」を無償提供。すでに9000サイト以上が利用している。解析対象のPV(ページビュー)は月間12億PV、ユニーク端末数は月間3500万台だという。

 木村氏は「2009年のモバイル広告は1031億円で、2008年比で112.9%も拡大した。3G以上の高機能端末や定額制の普及、モバイルSNSなどのソーシャルメディアの活用など広告市場そのものが拡大している。また、スマートフォンやiPadなどの新ハードの登場によるアプリ広告の可能性も出てきた」という。

 その一方、従来からのモバイル広告には課題や問題点も山積している。一部の有力な大規模サイトに広告出稿が偏重しており、広告主が活用しやすいサイトが少ないのである。限られた媒体の広告枠・媒体の争奪戦になっており、結果的にコスト高な状況だ。

 媒体の選択肢が限定的であれば、広告ターゲットにフィットしないことも多い。出稿したいと思う広告主の業種や業態も限定的になってしまう。「しかも、たくさんのユーザーを抱えるサイトほど、内容がグレーだったり、違法性の高い情報を掲載したりしている。ナショナルクライアントが出稿しやすい健全でクリーンなモバイル媒体が少ない。安心して出稿できる媒体を増やすべきだ」(木村氏)

サイト運営者が媒体を定義するのではない

 新会社のmaqsではこうした問題を解決するため、7月1日から「モバイル広告マーケットプレイス」事業を本格的に開始する。

 myRTモバイルで出向先となるモバイルサイトを独自にスコアリング。ジャンル情報なども解析し、関連性の高いモバイルサイトを複数パッケージすることで、月間1万ユーザーや数千ユーザーといった規模の小さなサイトでも広告収入を得られるという。「媒体としての価値を認められていない小規模サイトは無数にある。マーケットプレイスに登録することで、maqsがパッケージング。ニッチなサイトでもディープな客が集まっている場合もある」

 出稿する側は、ジャンルを指定して入札するイメージ。ジャンルのほか、時間帯や曜日、エリア、コンテンツの種類などの出稿条件も設定可能だ。「同質な媒体効果が望めるモバイルサイトを選択したり、組み合わせたりして最大の広告効果を追求できる」。

 広告や媒体のコンテンツに対して審査も行う。「当然、アダルトな内容や違法な広告は取り扱わない」と木村氏。万が一審査をくぐり抜けた場合も、ユーザーからの通報を受け付けるシステムを実装しているという。

 「これまではサイト運営者が媒体を定義し、読者の質や数をアピールしていた。これからはサイト運営者が定義した特性ではなく、スコアリングエンジンが評価し、自動的にターゲティングしていく。現在は1000億円の市場規模だが、今後は3000〜5000億円にも拡大する可能性がある」

 なお先行する実証実験では、700万インプレッションでもCTRは0.2%を維持。「業界の平均と比べても高いという評価を得ている」(伊藤要介ディレクター)。入札金額は15円前後で上昇傾向にあるという。

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