ビジネスメールもいろいろな作法がありますが、大人数に伝えるべき連絡事項などの内容を効果的に伝えるのが「1の法則」。ぜひお試しあれ。
ビジネスメールを作成する時の「1の法則」をご存じですか? 多くの人に伝えなければいけない連絡事項などの内容を効果的に伝えられるのが特徴です。今回は、この「1の法則」で最も大事な「1往復半で完了する」具体的なケースでお伝えします。
メールを送った相手から、早く返信が欲しい時に威力を発揮するのが1の法則。そのポイントは、次の3つです。
1つのメールに用件は1つ 1つのメールに複数の用件を盛り込むと、早く回答できるものとそうでないものが混在することになります。そうすると、早く回答ができるものまで、後回しや、回答を忘れてしまうことにつながります。1メール1件にすることで、回答しやすくなるのです。
1画面に収まる工夫 メールを開いて情報量が多いと、「この件は時間がかかりそう」という印象を持ちます。反対に1画面に収まっていれば、「すぐに対応できる」と感じ、対応しやすいのです。
1往復半で完了 送り手(用件)→受け手(回答)→送り手(お礼メール)というシンプルなやり取りが目指すイメージです。しかし、受け手が判断しにくいメールや、確認、質問が出るメールでは、複数回のやり取りが必要になります。相手が判断しやすい、回答しやすいメールを作成することを意識することで、やりとり回数を減らすことができます。
1の法則で工夫が必要なのは、「1往復半で完了」できるメールです。1対1はもちろんですが、1対多の時(連絡事項など)にこのメール作成の方法が威力を発揮します。ここからは、1対多のケースをご紹介しましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
件名 | ○月○日(日)全館ビル停電のご案内 |
本文 | 社員の皆様 年1回行っているビルメンテナンスのため、下記日時において、全館ビルを停電いたします。 ============================== 日時:○月○日 10:00〜12:00 場所:全館・全ての電源(駐車場を含む) 注意事項<詳細は添付ファイルを参照ください> ・カードによる入館・入室 ・ビル通用口からの入館 ・駐車場・エレベーターの利用 ・インターネットの利用 =============================== 以上、最終のご案内と致します。ご不明な点は、担当○○まで。 |
署名欄 | 担当:□□ ○○開発株式会社 総務部 連絡先 |
一見何も問題なさそうなメールです。恐らく、日曜日に出社予定がない人は、スルーするメールではないでしょうか?
しかし、たまたまその日に出社する人や、関連機器の管理責任者は、いくつか疑問が湧いてきそうです。例えば、
などです。このような疑問を複数の人が持つと、メールでの問い合わせが増え、その都度メールへの返信が必要となります。これでは、問い合わせる側にとっても、対応する側にとっても時間のロスにつながります。
また、スルーしてしまった人の中に、後から問題が発生する可能性もあります。
そこで、1対多のメールでは、
を明確に伝えなければなりません。
それでは、メールに改良を加えてみましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
件名 | 【重要】電子機器責任者要確認/○月○日(日)午前中停電 出社不可 |
本文 | 社員の皆様 年1回行っているビルメンテナンスのため、下記日時において、全館ビルを停電いたします。 それに伴い、 ・該当日時は出社不可です。 ・電子機器取り扱い責任者は、○月○日までに対応をお願いします。 (責任者の方は、確認後、本メールに返信をお願いします) ============================== 日時:○月○日 10:00〜12:00 場所:全館・全ての電源(駐車場を含む) 注意事項:電子機器の取り扱いに注意が必要です。詳細は添付ファイルの手順を確認ください。(例)冷蔵庫内に残っているものなども対応が必要です。 =============================== 以上、最終のご案内と致します。ご不明な点は、担当○○まで。 |
署名欄 | 担当:□□ ○○開発株式会社 総務部 連絡先 |
改良ポイントを太字で表現しています。次の点に留意しました。
いかがでしょうか? これで、必要な人と1往復半のメールのやり取りができ、関連する機器の取り扱い上の見落としが減らせ、なおかつ、当日出社する間違いを防げるのです。
このように、行動を取って欲しい相手を具体化し、その相手の行動をイメージした上でメールを作成すると、より伝わりやすくなります。相手の行動をイメージしたメールを作成するためには、3つのコツがあります。
次回はこの3つのコツを、少し詳しくご紹介しましょう。
大手生命保険会社、人材育成コンサルティング会社の仕事を通じ、組織におけるリーダー育成力(中堅層 30代〜40代)が低下しているという問題意識から、2006年Six Stars Consultingを設立、代表取締役に就任。現在と将来のリーダーを育成するための、企業内研修の体系構築、プログラム開発から運営までを提供する。
社名であるSix Starsは、仕事をする上での信条として、サービスの最高品質5つ星を越える=クライアントの期待を越える仕事をし続けようとの想いから名付けた。リーダーを育成することで、組織力が強化され、好循環が生まれるような仕組みを含めた提案が評価されている。
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