IMAP&Webメールって何? ローカルPCで受信しないメリットとは【初心者編】今さら聞けないWebメール

Webメールサービスの導入が進んでいる。今回の「Webメール特集」では、これらのWebメールについて、仕組みや使い勝手、どういうプランで導入したらいいのか――などに触れていきたい。

» 2010年05月17日 19時28分 公開
[鷹木創,Business Media 誠]

 Webメールサービスの導入が進んでいる。メール関連の情報を提供するソースポッドの調査によると、2006年に比較して2007年は126%の増加。それ以降もWebメールサービスの導入が進んでいるという。

 コンシューマー市場では、以前よりGmailやYahoo!メール、HotmailなどのWebメールサービスが普及していたが、ここに来てビジネスユースのWebメールの導入も進んできた。今回の「Webメール特集」では、これらのWebメールについて、仕組みや使い勝手、どういうプランで導入したらいいのか――などに触れていきたい。

Gmailも代表的なWebメールである

なぜWebメールが増えた?

 Webブラウザで操作するメールが「Webメール」――というのが最も簡単な理解である。だが、実際にはメールサーバを外部の業者にアウトソーシングするタイプと、自社で運用するタイプに分けることができる。また、クライアントPCにメールをダウンロードするPOPでの受信を前提とした方式と、メールサーバ上でメールを確認するIMAP方式に区別可能だ。

 Webメールが増えてきた理由はコストとセキュリティの2点。例えば自社でメールを運用する場合、サーバやインターネット回線のほか、サポートの人員が必要だ。一方、外部の事業者にアウトソースする場合、業者に支払うコストのみでメールが運用できる。金額だけの比較であれば、もしかしたら自社で導入した方が安上がりかもしれないが、専任の担当者が置けない中小企業の場合、何かと兼任する担当者を置かざるを得ない。ビジネスに不可欠なメールだからこそ、無理せずに運用することが大事なのだ。

 もう1つ。最近は動画や画像などリッチなコンテンツを添付するメールも増えている。HDDが安価になってきたこともあり、メールボックスの容量を増やそうということになるのが自然の流れだが、そうした設定変更も自社で運用していると大変だ。最悪メールシステムをいったん止めて、ハードウェアの追加をしてから再起動して……となることもある。ASPやSaaSとして提供しているサービスであれば、基本的にはメールボックスもワンクリックで増やせるものが多い。このあたりの負担軽減も管理者にはうれしいだろう。

セキュリティや事業継続もWebメールに利点

 セキュリティ対策から考えると、IMAP方式が確実だ。メールをクライアントPCにダウンロードすることなく内容を確認できるので、いちいちメールソフトにダウンロードするPOP方式よりも情報漏えいの危険性が少ない。従来のメールボックスは100Mバイトほどの容量で数日で満杯になっていた。もちろんIMAP方式であっても、すぐにメールを削除しなくては新しいメールが受信できない状態になっていたが、先ほど説明した通りのメールボックスは容量増加の一途。数Gバイトの容量であれば、クライアントにダウンロードしなくても確認できるIMAP方式の良さが実感できるのではないだろうか。

 Webメールで重要なのは、メール本文だけではない。アドレス帳データなどの関連情報もクライアントPCに保存する必要がないのである。情報セキュリティの大切さが喧伝される今でも「外出先でPCを紛失した」事件を見聞きすることは多い。ここまでなくならないとすると、PCをなくしても大丈夫なシステムにすればいいと考えるのが合理的だ。その点、Webメールであれば紛失したとしてもPC自体には情報はない。Webブラウザを使うので、SSL(Secure Sockets Layer)を利用することで、ブラウザとサーバ間の通信を簡単に暗号化できる。

 事業継続性からの観点も押さえておこう。PCが故障したとき、日ごろバックアップを取っておけば大事には至らないが、バックアップを取っていないときこそ故障しがちなのがPCでもある。筆者も以前は「メールソフトだけでも復旧して……」と技術部に泣きついていたが、Webベースのメールであればそんな心配もない。Webブラウザさえ利用できれば、特に難しい設定をすることなく継続が可能だ。管理者としても、個々のメールソフトいおける不具合に対応する必要がない分、コストの削減にもつながるというわけである。

ワークスタイルに変化

 一般的なWebブラウザでメールを送受信できて、Outlookなど特定のメールソフトが不要なのがWebメールの特徴であることは何度か述べた。ここで着目したいのがブラウザであること、である。今現在、インターネットに接続できるPC以外の機器が急激に増えている。携帯電話はもちろん、iPhoneに代表されるスマートフォンやニンテンドーDS、PSPなどの携帯ゲーム機などだ。

 ビジネス用途でゲーム機はなかなかないかもしれないが、携帯電話やPDA、スマートフォンといったあたりは便利に利用できるだろう。Webメールサービスの中には、モバイル向けに専用のインタフェースを用意しているサービスも多い。詳細なメールを書かなければいけないときはさすがにPCの方が打ちやすいが、ちょっとしたすき間時間にメールを確認したり、簡単な返事を書けるのであれば、必ずしも会社のデスクトップPCに張り付いている必要もないはず。Webメールによって、新しい働き方が始まっている――といっても過言ではないのである。

 次回「選ぶポイントはここ! 最近のトレンドはどこ?(仮題)」に続く

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