信頼していたビジネスパートナーに裏切られたら堀江貴文に聞く【人脈編】

元ライブドア社長の堀江さんが答える連載「堀江貴文に聞く」。今回は、会社の同僚やビジネスパートナーについての回答です。

» 2010年04月19日 18時00分 公開
[堀江貴文,Business Media 誠]
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まな板の上の鯉、正論を吐く ホリエモン108のメッセージ

この連載は書籍『まな板の上の鯉、正論を吐く』から抜粋、再編集したものです。最高裁の判決を待つ身ながらも活発に発言を続ける彼の頭の中に去来する思い。「クビにしないように採るのも企業の責任」「僕の経験上、返済できる金利の上限は5%」「今の日本は国家が借金したお金でGDPを支えている」「核武装して周囲に摩擦を生むくらいなら今のままで十分」――。その一部をご紹介します。堀江流思考のストレッチをお楽しみください。


これまで、堀江さんと共通の目的意識を持った「同志」のような存在はいましたか?

 共通の目的のもとに刺激し合ったり、ターニングポイントで力を合わせたりした同志……ということを考えると、あまり思いつきません。

 もともと僕の場合は、目標や目指すものについて語り合ったりとか、共有したりということが、そもそもない。例えば、一緒に働く社員とも、全然共有してこなかった。不親切に思う人もいるかもしれませんが、「勝手についてくれば」という感覚です。もちろん、「置いてくぞ」ともいいませんが、人に合わせて説明するのが嫌なんです。「自然に目的意識を共有できないんだったら、別にいいわ」と。ヒントも出さないし、思惑や意図を読み取れ、ともいいません。

 これまでの部下の中で、「コイツはすごいな」と思うほど僕の思いを読み取ってきたり、図らずも目的を共有した、という人物はいませんでした。みんな、ちょっとずつズレていると思う。でも、それがある意味自然でもあり、相手に合わせて修正する必要もない、というのが僕の考えです。

 一般論では、社長の考えを隅々まで行き渡らせるべきだ、という考え方が主流でしょう。しかしそうしなくても、みんながついてきて実際に会社が成長した。仕事はスピード重視なので、細かな目的まで共有するなどという面倒なことはしません。

信頼していたビジネスパートナーに裏切られたら、どう対応すべきですか?

 ライブドア時代、ビジネスでもっとも信頼していた仲間に裏切られたことがあります。それがあまりに寂しく、「人に裏切られないためには」と考えを巡らせましたが、「許すしかない」という結論に至りました。すなわち、裏切られないように事前の対策を完璧に打つことは不可能だからです。

 そもそも、人間はそれぞれに価値観が違うものだから、相手に「裏切ろう」という意思があったのかどうかすら、本当のところは分からない。悪意がないのであれば、「モラルの違い」で済んでしまう話です。要は自分が勝手に信じたのだから、「裏切り」も受け入れるくらいが、バランス的にちょうどいい。

 「恨み」というエネルギーは恐ろしく強く、人間の一生を左右しかねない。そのことを考えれば、そうした負の感情に身をゆだねるよりも、「裏切りを許す」あるいは「忘れる」ということが大事です。


著者紹介:堀江貴文(ほりえ・たかふみ)

 1972年、福岡県生まれ。1991年、東京大学教養学部文科三類入学。1996年、東京大学在学中に資本金600万円で「有限会社オン・ザ・エッヂ」を設立。2002年、経営破綻した旧ライブドアから営業権を取得し、2004年、「株式会社ライブドア」に社名変更。同年6月、経営難に陥っていた大阪近鉄バファローズ(現・オリックスバファローズ)の買収を申し出たことにより、ライブドアとホリエモンの名前は一躍全国区に。2005年2月、ライブドアがニッポン放送の株主となり、フジテレビとの間でニッポン放送の経営権争奪戦が起こるが、4月には両者で和解。フジテレビはライブドアから1400億円でニッポン放送株を買い取った。2005年8月、広島六区から衆議院選挙に出馬し、亀井静香と一騎打ちになるも落選。2006年1月、証券取引法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕・起訴される。2007年3月、東京地裁で2年6カ月の実刑判決を受け、即日控訴。2008年7月、東京高裁は控訴を棄却。即日上告し、現在最高裁判決を待つ。現在、ロケット開発を手がけるSNS株式会社のファウンダー。


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