不安で怒ることができませんあなたの不安、見積もります

わたしは「怒る」ことができません。腹の立つことはたくさんあるのですが、人に怒りを示すのが不安でできないのです。

» 2010年04月15日 10時30分 公開
[佐々木正悟,Business Media 誠]

 最近、セミナーで「怒りを伝えるコミュニケーション」というテーマを取り扱いました。予想していたことですが、「怒りが抑えられない」という悩みと「怒れない」という二極化した悩みをいただきました。今回はそのうち、「怒れない」方を取り上げたいと思います。

ビジネスパーソンの気になる疑問

 わたしは「怒る」ということができません。腹が立たないというわけではないのです。腹の立つことはたくさんあるのですが、人に怒りを示すのが、不安でできないのです。


 まず、「怒りが抑えられない」という人から見れば、「怒れない」という人にはうらやむべき点もあります。ご自分の長所を、再確認しておきましょう。むやみに腹を立てたり、怒りっぽかったりすると、心臓に負担が大きくなるという統計的な調査結果もあります。

 これはあくまでも統計で、怒りっぽい人がみんな心臓病になるというようなことではありませんが、「いつも穏やかに見える」ということのメリットは確かにあるのです。つまり、「怒りを抑えられる」ということは決して悪いことではないのです。

 その一方、確かに人に「怒りを示せない」ということのデメリットもあるでしょう。何より自分ばかりが損をしているようで、悔しいかもしれません。そこで、「怒りを示すハードルを低くする」マインドハックを紹介しましょう。

  1. 考え方を変える
  2. 言葉によらずに怒りを伝える
  3. 長い時間をかけて怒りを伝える

 「怒れない」という人は「怒り」について若干誤解している節があります。「怒る」というとすぐに凶暴になって、怒鳴り散らすような姿をイメージしてしまうのです。しかも、「怒れない」という人は、自分が怒ると他人との関係が直ちに破綻するように思っています。

 こういう考え方をまずは修正してみましょう。怒ったからといって、関係がすぐに壊れてしまうとは限らないし、また怒りを示すといっても、粗暴に怒鳴り散らさなくてもいいのです。

 場合によっては言葉を使わず、にらんだり、怒りの表情を作ったり、簡単にその場を去らないなど、ノンバーバルなやり方で怒りを伝える方法もあります。すぐにその場を納めてニコニコしたのでは、相手に伝わらないのが当たり前です。

 また、瞬時にやり返さず、時間をかけて怒りを伝えるという方法もあります。この方法だと、「恨みがましいタイプ」と思われるリスクはありますが、そもそも怒りを伝えようという相手に、何らの不快感をもたれたくないと思うのは、無理があると思うのです。

お知らせ

 5月12日(水曜日)、大手町のアイティメディア本社にて「マインドハック研究会 ライフハック編」を開催いたします。テーマは、「先送り対策としてのタスクリスト」です。

  • どうして、タスクリストが先送りの対策になりうるのか?
  • なぜ、記憶に頼るべきではないのか?
  • デジタルツールをリマインダーとして扱うメリットは何か?
  • ある意味では、ライフハックの基本とも言えるテーマに、一度じっくりと取り組んでみましょう。

▼お申し込みは下記のページよりお願いいたします。

http://kokucheese.com/event/index/2152/

筆者:佐々木正悟

 心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ