Evernoteをはじめとする高機能で多機能なメモツールは確かに便利だが、「もっとシンプルにメモ&検索だけしたい」という人にとって、Quillは有効な選択肢のひとつだ。
Webサービス図鑑で紹介しているオンラインノートサービスは、おなじみ「Evernote」や「WebAsyst Notes」など、クライアントソフトと連係する高機能なものから、「Writeboard」や「MashPad」をはじめとした比較的シンプルなものまでさまざまだ。
この中でも一番シンプルなサービスはどれかと聞かれたら、筆者は「Quill」を推したい。以前紹介記事を書いたこともあるが、2008年の公開以来アップデートを重ねて使いやすさが向上しているので、今回は再度取り上げる。
筆者がシンプルなオンラインノートに求める要素は、大きく分けて3つある。
では、それぞれについてQuillではどうなのか。1はひとまず後に回して、まずは2の「すぐにメモできること」から。Quillはログインするといきなり大きなメモ入力画面が現れるため、使い方に迷うことはない。書き込んだテキストは1行目が自動的にタイトルになるため、タイトルフォームさえなく、簡単なテキスト装飾ボタンのほかには余計なものは何ひとつ付いていない徹底ぶりだ。
既にログインしている状態でトップページにアクセスすると、エディットページにリダイレクトしてくれたり、書き込んだテキストを自動保存してくれたりするのも使い勝手が良い。欲を言えばMashPadのように、アクセスした瞬間に入力フォームにフォーカスを合わせてくれるとなお良いのだが、素早く使えるメモとしてはかなり優秀だ。
3の「書いたメモを見つけやすいこと」については、前述の通り1行目のテキストがタイトルになることと、タイトルと本文を含めた全文検索機能が使えるので、いちいちタグ付けなどしなくてもほとんど問題はないだろう。サービスリリース時点ではタイトル検索しか使えなかったので、これは大きなアップデートだ。
最後に1の「いつでもどこからでも使えること」はどうだろう。実はこの点が筆者にとって最も重要なポイントでもあるのだが、QuillはPCでの利用をメインとしており、携帯電話からは閲覧のみ可能で編集はできない。これはかなり痛いところだが、スマートフォン用のインタフェースは用意しているため、iPhoneユーザーなどに関しては問題なさそうだ。
このほか、公開/非公開設定やパスワードによるメモの共有機能なども追加されているが、個人的にはこういったシンプルなメモサービスは「それほど重要ではない情報をささっとメモする」用途に適役だと考えているので、それほど使う機会はなさそう。また、同じく追加されたブックマークレットによるクリッピング機能なども、Evernoteをはじめとする多機能メモサービスのほうが使い勝手がいいと思う。
とはいえ、「複雑なことはできなくていいから、素早くメモできて必要なときに探せればそれでいい」という人にとっては、Quillは有効な選択肢のひとつになるはずだ。同じようなメモサービスを探している人は、携帯電話からも利用できる「紙copi Net」も試してみて、しっくりきたほうを選ぶのもいいだろう。
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