ダブルブッキングが発生するのは、あなたがだらしないからではありません。使っているツールが悪いのです。足りないのはあなたのマネジメント能力ではなく、ツールのマネジメント能力なのです。
スケジュール管理のためのツールは、今や人の数だけ存在しているように思えます。選ぶのに困るほど多くのツールの中から、自分が使うべきものを選ぶための基準はどこにあるのでしょうか。
同じ時間帯に2件以上のアポを入れてしまう「ダブルブッキング」で、これまでに何度も失敗しています。うっかりした自分の性格を直したいのですが……。
ダブルブッキングが発生するのは、あなたがだらしないからとは限りません。基本的には、使っているツールが悪いのです。足りないのはあなたのマネジメント能力ではなく、ツールのマネジメント能力かもしれないのです。
トラブルが発生しない限りは同一の予定管理ツールを使い続けてもいいでしょうが、ダブルブッキングのような事態が起こったらツールを変えるべきでしょう。その際に、
こんな馬鹿げたループに陥らないためにも、「なぜこのツールは自分に合わなかったか」をきちんと確認しておくことは必須だと言えます。また、どのツールを使ってもダブルブッキングが発生するというのであれば、そもそも引き受けている仕事量があなたのキャパシティをオーバーしているのだと言わざるを得ません。
とはいえ、当面の間ダブルブッキングを発生させないという目的では、ありきたりですが次のツールが役に立つでしょう。
これらのツールの特徴は、まず、入力場所を選ばないということです。持ち歩けるサイズに収まっている、ということですね。
それから、最新情報への更新速度が十分である、ということです。これは、アナログであれば当たり前のことですが、デジタルでは注意が必要です。「データ同期の速度」というのは、特にスケジューリングツールには大事な条件です。新しい予定を入力しようとした際、最新の予定表が表示されなければ、ダブルブッキングを防ぐことはできないからですね。スケジューラーを開いたとたんに同期が始まったとして、即座に終わるくらいでなければいけないわけです。
同期の速度と並んで重要なのが、一覧表示における視認性の良さです。予定を入力するときは、月表示などのビューを利用することが多いでしょう。一覧表示すれば当然、文字のフォントは小さくなります。すると予定を見落としやすくなるので、ダブルブッキングの危険が高まります。
アナログの手帳にはこうした問題はありませんが、ダブルブッキングが起こりそうになっても、それを防ぐ機能がありません。17時〜18時に予定が入っているのに、17時45分に新しい予定を入れようとしたとき、その入力に「待った」をかけてくれるのは自分の注意力だけです。
このように、どんなツールを使ったとしても、ダブルブッキングの危険性をゼロにすることはできませんが、「最新情報の反映に手間取らず、視認性がよいツールを使う」ことで、そのリスクを小さくすることはできるのです。
心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。
内容がアップデートされていく電子書籍『EVERNOTEハンドブック』が発売になりました!
詳細はこちら
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.