10年前のホワイトデー、わたしは……Biz.ID Weekly Top10

若かりし頃の思い出を振り返るときは、いつでも何だかいたたまれないような気持ちになる。あの頃毎日過ごしていた風景と、思い出せない気持ちと、よく分からない勢いと――(なんてカッコよく書いてみたが、今回も情けない話です)。

» 2010年03月11日 19時20分 公開
[杉本吏,Business Media 誠]

 先週のBiz.IDで最も読まれた記事は「こんな人なら節税できる(前編)」。2位には、グラビアアイドルの服をなぞって破るiPhoneアプリ「妄撮 for iPhone」の開発秘話がランクインした。現在はAppStoreのアプリ大量削除によってダウンロードできない状態が続いている同アプリだが、はてブでもTwitterでも「ぜひ復活を!」との声が高まっているようだ。Appleさん、なんとかなりませんかねえ。


 思い出したくもなかったが、今週末はホワイトデーらしい。乙女な人が虫を配って社内中をドン引きさせたあの日から、もう一カ月も経ったのかとびっくりする。

 バレンタインデーのお返しに何を贈ろうかと悩んでいる人は、Business Media 誠の「必ず喜ばれる! ホワイトデープレゼントの選び方」あたりをチェックしてみればいいと思う。筆者はその点、お返しに迷う必要などないので幸せだ。特に理由は書かない。

 そんな筆者にも過去にはそれなりに美しい思い出というのがあったわけで、あれは確か中学2年生の頃だったか。今思い返してみてもミラクルなのだが、10人ほどの女の子からチョコレートをもらったことがあった。もちろん義理チョコばかりなのだが、そんなことは希望に満ちあふれた14歳の青年には関係ないわけで、興奮しつつも「ホワイトデー、何を返せばいいんだろう……」と困り果てた。

 文字通り、いわゆる「中2病」真っただ中の時代である。マシュマロとかクッキーとか、そういうありきたりなものを選ぶのは嫌だった。かといって、ほとんど義理チョコなのに、やけに気合を入れたものを返すのもおかしい。

 悩みながらも一カ月が過ぎ、結局筆者が選んだのは「鯖の味噌煮」だった。「鯖の味噌煮のカンヅメ」だった。懐かしの学ランのポケットにカンヅメを詰め込んで、一人一人配って回った。「正気?」という読者の声が聞こえてくるようだが、「そんなの正気なわけがないだろう!」というのが現在の正直な感想だ。たぶん悩み過ぎて脳みそのシワが全部消え、つるっつるになっていたのだと思う。

 今となってはなぜそんなチョイスをしたのかさっぱり思い出せないが、渡したときの相手のきょとんとした顔だけははっきりと覚えている(翌日、「晩ごはんのおかずにして食べました」などの感想をもらった。そうですか)。それにしても、あの日の鯖の味噌煮に使われていたのは、赤味噌だったのか、それともきちんと白味噌だったのか――。果てしなくどうでもいいことが気になる、10年後の冬の夜なのである。

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