世界の海底トンネルから樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」

海に隔てられた隣国、地域をつなぐ橋やトンネルは、飛行機で行き来する以上に、重要な役割を果たしていると思う。商社に勤め、あらゆる国を渡り歩いてきた筆者は、世界の海峡橋や海底トンネルに興味を持った。

» 2010年01月21日 16時00分 公開
[樋口健夫,Business Media 誠]
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 海に隔てられた隣国、地域をつなぐ橋やトンネルは、飛行機で行き来する以上に、重要な役割を果たしていると思う。海を渡らなければ行けなかった“遠い国”が、陸と陸でつながることで親近感が増し、貿易、文化交流などを活発するだけでなく、人と人との関係を緊密にしている。商社に勤め、あらゆる国を渡り歩いてきた筆者は、世界の海峡橋や海底トンネルに興味を持った。


 Google Earthを見てほしい。ペルシア湾にバーレーンという島国がある。小さな国であるがれっきとした独立国だ。その島とサウジアラビア王国を直結する海上道路「キング・ファハド・コーズウェイ」が見える。全長25キロ。バーレーンとサウジアラビア東部を1時間で結ぶという。

 キング・ファハド・コーズウェイは、筆者が8年半サウジアラビア王国に駐在後、帰国した1986年に完成した。駐在していた当時から、筆者は島国が橋や海底トンネルで隣国と結ぶ計画に、大いに注目していた。キング・ファハド・コーズウェイ以降、こうした海峡橋や海底トンネルが増えてきているようだ。

 例えば1994年に完成した英仏海峡トンネルや、2000年に完成したデンマークとスウェーデンの間もオーレスンリンクがそうだ。オーレスンリンクが完成する以前は、両国をフェリーでつないでいた。陸でつながったことで、スウェーデンだけでなく、ノルウェーも、フィンランドといったほかの北欧の国にも、大きな変革をもたらしたという。

 同じ島国である日本ではどうか。やはり世界一の長さを誇る青函トンネルが有名だ。国同士をつなぐトンネルではないが、全長50.5キロという距離のトンネルを作り上げるために、いくつもの苦難を乗り越えた。しかし青函トンネルの完成によって北海道と本州との交流は大きく変わった。なお、青函トンネルは、新幹線も走れる規格で建設されており、2005年新幹線の着工も始まっている。

 技術的な面を考えて、今後稚内と樺太(サハリン)を結ぶ、宗谷海峡の海底トンネルができる可能性は十分にあるだろう。樺太とアジア大陸の間は、間宮海峡があり、こちらも古くから海底トンネルを作るうわさがある。宗谷海峡トンネルと間宮海峡トンネルが完成すれば、日本とユーラシア大陸が直結することになる。世界がもっと緊密になればいい――。夢がどんどん広がっている。

今回の教訓

 トンネルがあったら入りたい。


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著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。近著は「仕事ができる人のアイデアマラソン企画術」(ソニーマガジンズ)「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちらアイデアマラソン研究所はこちら



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