スライドショーで会議中にも発想――パワポで作ったアイデア創出テンプレートiPod touchだってできるもん

今回はiPod touchでアイデアを引き出す方法をご紹介します。オリジナルカードが作成できるように、PowerPointのテンプレートファイルも用意しました。

» 2010年01月14日 10時00分 公開
[石井力重,Business Media 誠]

 前回はサイコロアプリで、デザインモチーフを考える方法を紹介しました。今回は、iPod touchを発想の道具として使います。PowerPointだけでオリジナルカードが作成できるように、テンプレートファイルも用意しました。

用途アイデア名 「iPod touchでアイデアを引き出す」
3つの効果 1. 電車の中でも片手でアイデア出しができる。
2. カードを簡単に自作できる。
3. スライドショー機能を使えば、会議でも目立たずに使える。
必要な道具 PowerPoint


  • 1. PowerPointを開き、発想トリガーなど発想のヒントになるフレーズリストを打ち込む。

発想カードを最適化し、フレーズを洗練させる2つのコツ

  1. 「ないと意味が通らなくなる単語」以外をそぎ落とす
  2. 内容的に分けられるならば、2つのカードに分割する

  • 2. 画像として保存する。

 PowerPointの「名前をつけて保存」で、「ファイルの種類」を「JPEGファイル交換形式」にします。保存を押すとメッセージがポップアップします。「すべてのスライド」を選ぶと、フォルダの中に保存できます。

photo 保存を押すとメッセージがポップアップ。「すべてのスライド」を選ぶ

photo 筆者が作ったテンプレート

 このような画像を作るのに慣れていない方はテンプレートをダウンロードしてください。このテキストボックス内にフレーズを入れていきます。

 なお、カードの枚数が10を超える場合、PowerPointが吐き出したJPGファイルを取り込むと画像の順番が狂ってしまいます。それを解決するには一けたの数字を01、02……としてください。100枚以上のスライドがある場合は、99個のデータに、同じような数字の付け替え作業が必要になります。この場合は、初めに空白のスライドを100枚入れから、画像として保存します。その後空白スライドの画像100枚を削除します。これでファイル名の変更せずに、うまく順番通り表示します。ただし、画像の下のほうに付与されるカードナンバーは、101からスタートします。

  • 3. できたフォルダを、iPod touchと同期するフォルダへ移動する。

 同期するフォルダは、iTunesの同期画面の「写真の同期元」です。

  • 4. iPod touchを同期する。

 iTunesで写真タブを開いて、同期ボタンを押します。

  • 5. iPod touchで写真アプリを立ち上げ、どんどんめくって、発想の刺激にする。
photophoto

 電車や会議室など、発想のヒントが欲しい時にそのカードをどんどんめくっていけば、発想の刺激が得られます。カード形状であり、直感的な操作ができるこのiPod touchというデバイスは、「アナログのカード」に近い使用感で使えます。

 この方法は汎用性があり、発想系のフレーズに限らず、繰り返し見たいフレーズをいれるのもいいでしょう。今年の目標を入れておくのもいいかもしれません。

 なお、スライドショーでカードを流し続けるという形でも、発想が出てきます。企画会議のテーブルで、ガジェットを触っていると「何してるんだ!」と怒られそうですが、ノートの上に置いたiPod touchの画面を時々眺めるだけならば、非難されにくいでしょう。隣の人には見られてしまいますが、表示されているものが「発想のヒント」であることは、ほかの人も見れば分かるはず。そのシーンも考えて、先ほどのテンプレートはシンプルなデザインにしました。

  • アイデアの評価:★★★★☆

 この使い方は、カードメモを愛用している人ならば思いつくかもしれません。しかしカードの紙面サイズや画質の設定など自分でゼロから始めると、結構面倒なものです。7.5×5ミリの画面サイズのPPT紙面サイズを苦労して設定しても、画像にして取り込んだら文字周辺が汚くなってしまうことがあります。そのため、先のファイルの紙面サイズは、iPod touch画面サイズではなく3倍に設定しました。iPod touchに転送して閲覧すると、くっきりとした文字で表示します。

 画像の質を気にしないで済むようになると、カード作成で最も時間がかかるのは、「フレーズの入力」です。PowerPointの左側のエリアの「アウトライン」へ、一気にフレーズリストを張り付ければ、時間を短縮できるでしょう(多少の調整は必要ですが)。

 設定済みのPPTファイルがあれば、後はコンテンツを入れるのみ。写真アプリはiPod touch標準搭載のアプリなので手軽です。星5つとしたいところですが、このアプリではカードの選り分けができないため、1点減点しました。

 ただし、カードの選り分けは手間をかければ実現できます。「画面の撮影(ホームと電源を同時に押す)」機能を使用するのです。カードをめくり、抜き出したいと思うものを撮影し、後で写真アプリの「保存された写真」フォルダから、そのカードだけを眺められるというもの。保存しようかどうか迷ったらとりあえず撮影しておき、「やっぱり要らないな」と思ったら後で削除すればいいのですから(多少面倒ではありますが……)。

 以下の動画は、以前紹介した「12変化リスト」という発想トリガーをもとに作った23枚のカードを、スライドショー表示しているところです。

※実際のスライドショー機能はもう少しゆっくり切り替わります。この動画は、サンプル用に編集しています。

 サンプルとして、このカードセットも用意しました。試してみたい人は、是非ダウンロードしてみてください。

 次回はいよいよ最終回です。クライアントに向けて作った説明動画を「高い確率で見てもらえるようにする」方法をご紹介します。

著者紹介:石井力重(いしい・りきえ)

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 アイデアプラント代表。1973年生まれ、東北大学大学院卒。創造性育成ツール開発プロジェクトではリーダを務め、そこから誕生したブレインストーミング学習教材『ブレスター』は、みやぎものづくり大賞で、優秀賞を受賞。アイデア創出のプロセスを研究し、創造力を補佐する道具の開発と、アイデア・ワークショップを行っている。著書に『アイデア・スイッチ』など。


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