図解で「ジェイコム株誤発注訴訟」を整理する世の中「四角形と矢印」でできている(1/3 ページ)

わたしたちは情報をインプットして、理解し、記憶するときには必ず「絵」にしています。本連載では入ってきた情報を整理・分析し、他人に分かりやすく伝える技術「図解通訳」を紹介。図解通訳の実践練習の最後となる今回は、「ジェイコム株誤発注をめぐる訴訟」を図解してみます。

» 2009年12月25日 15時30分 公開
[永田豊志,Business Media 誠]
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 前回は、編集部のHさんに話題となっていたTBSドラマ「JIN -仁-」の人物相関図に挑戦してもらいました。さて、図解通訳の実践練習の最後となる今回は、「ジェイコム株誤発注をめぐる訴訟」を図解してみます。少々、難しそうな課題ですが、コツをつかんでしまえばシンプルですから安心してください。

 Hさんにチャレンジしてもらった後で、わたしが添削して、いくつかの改善例を紹介します。


話題の時事ニュースを図解通訳してみる

永田 今回は、ちょっと堅いニュースを題材にしてみようかと思います。

編集部H どんなネタですか?

永田 みずほ証券がジェイコム株を誤発注したという事件で、途中で注文の間違いに気づいて取り消したにもかかわらず、東証のシステムが対応できず400億円もの損失を抱えてしまったという、あのニュースです。

編集部H う〜ん。なんだか難しそう……。

永田 ちょっと話が入り組んでいますが、登場人物はみずほ証券と東証くらいしかいませんから、意外と単純な図解になると思いますよ。

編集部H そういって、毎回難しいじゃないですか!

永田 そんなことありませんよ。とにかく、やってみましょう。話はその後で。

編集部H なんだか、ごまかされているみたいだなあ。

東証に約107億円賠償命令 ジェイコム株「1円」誤発注訴訟

 平成17年12月にジェイコム株誤発注で多額の損失を計上したみずほ証券が、システム不具合により損害を受けたとして東京証券取引所に計約415億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が4日、東京地裁であった。松井英隆裁判長は、東証に約107億円の賠償を命じた。

 みずほ証券側は、ミスに気付く前に売買が成立した1822株分の損害(約3億7000万円)について、「自己責任」と認めている。一方、「システムの不具合があった」として、取り消し注文以降の400億円あまりの損失について、「東証の備えは不十分だった」と賠償を求めていた。

 一方、東証側は「そもそも誤発注がなければ問題は生じなかった」と反論。「施設を提供しているだけで個別の注文を処理する義務はない」「特殊な条件が重なって生じた不具合で予測できなかった」として、「故意か重大な過失がない限り免責される」と規定した東証の取引参加者規定に基づき、賠償責任を否定していた。

 訴状などによると、みずほ証券は17年12月8日、東証マザーズ市場に新規上場したジェイコム株について「61万円で1株売り」とすべき注文を「1円で61万株売り」と誤って発注。まもなくミスに気付いて、1分25秒後に注文取り消しの手続きを行ったが処理されず、その後8分弱で全株の売買契約が成立し、最終的に約407億円の損失が生じた。

 みずほ証券は、自社の責任と認めた約3億7000万円の損失を除いて、弁護士費用などを加え18年10月に提訴した。


※日常のニュースを図解通訳するのは、複雑な関係や事象を整理するのに、もってこい。ぜひ、自分でもいくつか気になるニュースを整理してみてください。

永田 ざっと、こんな感じのニュースなんですが……。

編集部H やっぱり難しいじゃないですか!!

永田 いや、そうでもないですよ。ただ、今回は情報量が多いので、いくつかポイントを絞って図解通訳したほうがいいですね。

編集部H どんな点ですか?

永田 何が起こったのか、ということを時系列で整理すること。2者の主張がどのように対立しているか、ということです。この点に着目して、やってみてください

編集部H う〜む、時系列ねえ……。

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