レストランでの振る舞いで見分ける――「自己主張」と「ハイ・メンテナンス」の違いはアラフォー起業家の“継続拡大”人脈術

「high maintenance」――。メンテナンスが大変な人、つまり要求や要望が多い人という意味で使われる言葉だ。こんなタイプの人はせっかくの「人脈」のチャンスを逃している。

» 2009年12月02日 13時30分 公開
[加藤恭子,Business Media 誠]

 日本語ではあまり使われていないようだが、「high maintenance」という言葉がある。文字通り、メンテナンスが大変な人、つまり要求や要望が多い人という意味で使われる言葉だ。

 わがままなことを言うお嬢様のようなイメージだろうか。または、すでに社会的地位の高い人が、いろいろと注文をつけたりする、気難しいようなイメージを浮かべると分かりやすいかもしれない。

 「注文の多さ」は、仕事人脈においても真剣さの表れととらえることもできる。だが、「自分だけに説明してほしい(=その他大勢の中で扱われたら嫌)」「メールではなくて、すぐに電話がほしい。急いでる(=相手のスケジュールは無視)」「打ち合わせ時間は変更だ」「急で悪いが、休みの日だけど(または、夜だけど)すぐに返事がほしい」などと、自分の都合を優先させて、相手に負荷をかける方法は百害あって一利なしだ。度がすぎると「面倒臭い人」「手間のかかる人」と思われて敬遠されてしまう。仕事の中心となるコンテンツ部分を細かく吟味して詰めるのは正しい注文の多さだが、打ち合わせ時間の度重なる変更や、本題と関係ない部分で何度も何度も説明を求めるようなタイプは「ハイ・メンテナンス」である。

 大口顧客と発注先という関係の場合、「ハイ・メンテナンス」はありかもしれない。だが対等な関係ではなく、長期的な人脈にはつながらない。それこそお金の切れ目が縁の切れ目になりそうだ。

 仕事でなくて友人関係でも、「あいさつがない」「人からの紹介方法が気に食わなかった」「飲み会の誘われた順番が遅かった」「メールのToアドレスに入っている名前の順番が後ろのほうだった」などということをひどく気にする人がいる。自分が軽んじられたり、バカにされたりしたら、それは指摘したほうがいいし、適度な自己主張はしたほうがいいだろう。だが、必要以上に相手からリスペクトを求めて、いちいち腹を立てたり、不快になっていては、せっかくの「人脈」のチャンスは遠ざかっていく。

 仕事関係でも、友人関係でも、あまりにも「手間のかかる人」だと思われてはいいことはない。

 レストランでの注文方法のスマートさを見て、友人や仕事相手を選べということがよく言われる。店員に対して横柄で、無理な注文をつける人は「ハイ・メンテナンス」である可能性が高い。これは自分の行動を振り返ってみる場合にもよい指標となる。さて、あなたはどんな風にレストランで振る舞っているだろうか。

 自己主張は必要なのだ。しかし本筋と関係ないところで相手を思い通りにしようと、相手の都合を考えずに迷惑をかける行為は、長い目で見たら大損をしているのではないだろうか。

著者紹介:加藤恭子(かとう・きょうこ)

 IT誌の記者・編集者を経て、米国ナスダック上場IT企業の日本法人にてマーケティング・広報の責任者を歴任。外資系企業ならではの本社へのリポートの方法や、離れた地域にいる国籍の違う同僚とのコミュニケーションを通じて、効率よく実施する仕事のノウハウを高める。現在は、その経験を生かし、IT企業・組込み系システム企業のマーケティング・PR(広報)のコンサルティングを行うビーコミの代表取締役として活動。日本PR協会認定PRプランナー。

 日経BP社、翔泳社、アイティメディア、ダイヤモンド社、アスキーなどで連載や記事も寄稿。インターネットを活用したコミュニケーションも研究しており、複数の学会などでブログコミュニケーションやネットPRに関する発表をしているほか、「CGMマーケティング」(伊地知晋一著、ソフトバンククリエイティブ刊)の編集協力も務めた。青山学院大学国際政治経済学研究科修士課程修了。現在は某大学院の博士課程に在籍し、引き続きコミュニケーションを勉強中。


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