アインシュタインはフリーミアムを笑うかBiz.ID Weekly Top10

先日、話題のビジネスモデル「フリーミアム」を考えるイベントに行ってきた。そこで思い出したのは、斬新なアイデアを出すための発想法として知られる「エクストリーム・ゴール」のことだ。

» 2009年11月27日 20時43分 公開
[杉本吏,Business Media 誠]

 先週のBiz.IDで最も注目を集めた記事は「『シャア専用手帳2010』で考える、シャアが使う手帳とは」。ビジネスパーソンの大好物(?)と言ってもいいだろう名言と、同じく大好物のガンダムが合わさったら、読まれない方がおかしい――というのは言い過ぎか。誠 Biz.IDでも過去に何度か「ガンダム+名言」ネタを取り上げていますので、そちらもご一緒にどうぞ(シャアの名言ガンダムの名ゼリフ)。


 先日、「FREEMIUM HACKS!!(フリーミアムを攻略せよ)」というイベントを取材してきた。リポート(前編後編)にも書いたことだが、会場では、

  • ドリンクフリー
  • PC用電源も無線LANも利用フリー
  • BGMもフリー
  • パネリストのドリンクはキリンのノンアルコールドリンク「フリー」

 と、至るところでフリーをアピール。前日に解禁したばかりのボジョレー・ヌーヴォーもフリーで、「なんて気前のいいイベントなんだ!」と素直に感動してしまった筆者である(ちなみにイベントは金曜の夜に行われた。飲んでないけど!)。

 パネリストの話はどれも面白かったのだが、聞きながらふいに思い出したのが「エクストリーム・ゴール」という考え方だ。これは、アイデア出し会議などで「……なんか、どれもこれもありきたりな考えばっかりだなあ。もっとさー、今までにないような斬新なアイデアないの!」などと上司に無茶ブリされたときに使えるアイデア発想法のことである。

 エクストリーム・ゴールでは、達成すべき目標(ゴール)があるときに、その目標を「極端に高く」設定してアイデアを出す(目標数値がある場合は、元の数値の大体10倍程度が目安)。例えば、「売上20%増のための良いアイデア」が浮かばないときは、「売上200%増のためのアイデア」を考えてみるのだ。

 当然ながら、200%増というと生半可なやり方では達成できないわけだが、そこがエクストリーム・ゴールのキモである。そもそも目標が非現実的なのだから、非現実的な手段を使うしかない――というわけで、通常時には頭の中で(無意識に)排除していた突飛なアイデアを、真剣に検討し始めるきっかけになる。エクストリーム・ゴールの詳細は、以前記事にもしているので参考にしてほしい。

 「無料のものが最高品質になるのは当たり前」と話した田端信太郎氏(ライブドア執行役員・メディア事業部長)をはじめとする「FREEMIUM HACKS!!」のパネリストたちは、このエクストリーム・ゴールの考え方を普段から自然に実践しているのではないかと感じた。

 常識とは、18歳までに身に付けた偏見のコレクションのことを言う。

――アルバート・アインシュタイン

 フリーミアムのサービスに対し、「これだけ高機能なものを無料で提供するなんて!」「十分にお金を取れるクオリティなのに!」という考え方しかできなかった(してこなかった)人たちは、偏見のコレクションを一つずつ引きはがしていく試みに、もっと積極的になってもいいかもしれない。自戒の念を込めつつも、そんなことを考えさせられたイベントだった。

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