ライフハックは、しばしば「小手先のテクニック」だと批判されます。しかし私は「小手先だからいいのです」と考えるようにしています。その心は――。
今回の質問者は、いわゆる「ライフハック」というものの効果に、少し疑問を持っているようです。
「タスクを小分けにするといい」とよく言われていますよね。これって本当でしょうか? そもそも小分けにすると、本当に効率が上がりますか? 私は小分けにする暇があったら手を動かした方がいいと思うのですが。
この方の質問はさらに続きました。「ではすぐに仕事に取り掛かれるかというと、なかなかそうもいかなかったりするのです……」とおっしゃるのです。これは心理学的には「葛藤」です。
「計画を立てる時間」も惜しい。だから「計画を立てず」に仕事を始めたい。でもそれでは仕事が手につかず時間がなくなる。それで焦る。
ライフハックは、しばしば「小手先のテクニック」だと批判されます。しかし私は「小手先だからいいのです」と考えるようにしています。大きな組織の長であったり、資金を豊富に持っているなら、大がかりなプロジェクトを「進めよう!」と号令することもできます。しかし、ほとんどの一個人に「すぐできること」は「小手先」にしかないのです。
プロジェクト全体の意義を見直したり、「先送りグセのある性格」を抜本的に改善する余裕があればいいのですが、そんな余裕はないのであれば、「小手先の技術」を試してみましょう。うまくいけば、けっこうな成果を手にできるのです。
私は、1冊の本を書くために、1日2000字程度(原稿用紙5枚)を最低のノルマとしています。調子のいいときは十分にいける分量ですが、どうしようもないほどうまくいかないときには、
と、小分けにして書きためるのです。1行80字なら、5行で400字。5回の行程が終われば2000字に達します。
馬鹿げていると自分でも思えるのですが、1日が終わったときに2000字書き上がっているのと、0字とではまったく違います。「小手先のテクニック」は大きな成果につながるものなのです。
カバンの中身。一つ減らすことはできませんか?
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タスクの一元化は、今では不可能!
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心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。
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