【番外編】『シャア専用手帳2010』で考える、シャアが使う手帳とは2009手帳特集“超”入門編(1/2 ページ)

手帳は使う人のためのもの――。近ごろ発売された「シャア専用手帳2010」で、シャアが使う手帳を考えてみたい。

» 2009年11月18日 16時00分 公開
[舘神龍彦,Business Media 誠]
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 最近でこそ手帳は、文具店や雑貨店で購入するのが普通になった。そもそも日本における手帳の歴史は、会社が自社の社員に配布する“年玉手帳”がルーツだった。さらにさかのぼれば、軍隊手牒、警察手帳などがあり、あるいはその延長線上に企業の年玉手帳があったのである。そしてそれらは、発行元の共同体への帰属感覚を体現するものだったのだ。だが1990年代以降、バブル崩壊にともなう経費削減によって年玉手帳を配る会社が減り、その結果手帳の市場が生まれて現在のブームにつながっている。

 拙著『手帳進化論』PHPビジネス新書)にも記したとおり、手帳に必須のスケジュール帳部分には共同体が基準とする暦がまずあり、その共同体が採用している物理的な単位としての度量衡などをコンテンツとして掲載するものだ。会社が配布する手帳であれば、会社の創立記念日や社内イベントが書かれているケースも珍しくないし、社訓や社歌がコンテンツとして便覧にあったりするのである。つまりその共同体にいる人たちが便利なものを収録しているのである。

 今回はこうした手帳の側面から、近ごろ登場した1冊の手帳を見ていきたい。その手帳とは、『シャア専用手帳2010』(PHP研究所)だ。このシャア専用手帳から、手帳の本質とは何かをもう一度考えてみたい。

専用だけれど、オーソドックス

価格は1000円。オビの外側に塩ビの透明カバー。実際にはこれらを外して利用する

 シャアと言えばガンダムのシャア・アズナブルである。あの赤いシンボルカラーや角付きのザク、「戦いとは、いつも二手三手先を考えて行うものだ」といった名言など、個性的なキャラクターだ。シャア専用手帳も“専用”であることを意識させられるポイントがある。

  • 赤いカバー、赤いしおり
  • 毎日の「シャアの名言」
  • 右ページにはアニメ本編の画像
  • アニメ3作品でのプロフィール
  • 歴代登場モビルスーツの画像とスペック一覧

 さらに、巻末にはアニメ『機動戦士Zガンダム』、劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』でシャアが演説した内容をそれぞれ完全収録している。これらはいわば、普通の手帳における便覧的な役割を担っているわけだ。

 一方、手帳の本体ともいえるスケジュールの部分は意外とオーソドックス。スケジュール記入欄は月間ブロック(2010年1月〜2011年1月)、週間レフト式(2010年1月1日〜12月31日)だ。本体サイズも人気の文庫サイズ(A6サイズ)と、まさに最近のツボを押さえた定番的な作りである。“専用”とはいいながら万人受けする作りなのである。

オビには「スケジューリングも通常の3倍速くなる」のキャッチフレーズが踊る。「〜シャアを愛するすべての人たちへ〜」と銘打たれているように、ファンに向けてのコンテンツだ

モビルスーツのスペック。全長、重量、出力、推力などが細かく記されている。右は週間予定欄。オーソドックスなレフト式。右ページ端にはシャアの“ご尊顔”4コマが入る

(左)ページ端にある囲みのコラム。「シャアの常識」としてトリビア的豆知識。(右)『機動戦士Zガンダム』第37話「ダカールの日」、『機動戦士ガンダム逆襲のシャア』の2つの演説を見開きに収録

 便覧のコンテンツは別にしても、シャア専用手帳は「スケジュール記入欄+便覧」という構成だけ見れば、手帳としてはごくごく普通だと思える。市販の手帳ならばこれは正しい姿だ。西暦表記とはいえ、日本の手帳にありがちな六曜などは入っていないし、(日本)国民の祝日なども、その日を赤い数字だけで表現することで実用性に配慮しつつも、シャアのイメージを損なわない工夫が見て取れる。便覧も充実しているし、シャアのファンブックとしての完成度は高い。そういう意味では「シャアのファンが使う手帳」であることは間違いない。

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