「あのタスクはどこに書いたっけ?」「まずどのツールからチェックしよう……」。複数のタスクツールを併用していて、こんな風に混乱してしまったことはありませんか?
今回は、誰でも悩んでいるタスク管理の中でも、特に「ツールの併用」に関する質問です。
手帳やメーラー、Webスケジューラーなど、複数のツールでタスク管理を試しているのですが、なかなかうまくいきません。それぞれのツールにタスクが分散しているのも問題ですし、一元化するために転記するのも面倒です。佐々木さんも複数のツールをお使いのようですが、なにかコツはありませんか?
この疑問はもっともです。タスク管理というのは凝りだすといくらでも手を掛けられますから、複数のツールを併用しているという人も多いはず。それぞれをうまく使い分けられれば良いのですが、「あのタスクはどこに書いたっけ?」「まずどのツールからチェックしよう……」と、かえって混乱してしまう人もまた、少なくないようです。
こうした混乱が起こるきっかけは、実は「ツールごとの優先順位」(私はこれを「ツールの偉さ」と呼んでいます)が決まっていないことにあるのです。私はメインのタスクリストにはToodledoを、メーラーにはGmailを使っているので、今回はこの環境を例にして説明してみましょう。
例えば、Toodledoのタスクリストに「メールチェックせよ」とあったとしましょう。そこでGmailをチェックしたところ、原稿執筆の依頼が来ていました。つまり、ここで「新たなタスク」が発生したわけです。この時点で、タスクはToodledoとGmail、それぞれに分散していることになります。
複数ツールを併用することで混乱してしまう人は、こうして「あるタスクをこなそうとしたときに、新たなタスクが発生してしまった」場合の処理がうまくいっていないようです。新たに発生したタスクに締め切りを設けて、メインのタスクリストに転記して、実行する時間を決めて……とやっているうちに、元々のタスクだった「メールチェック」から離れていってしまうからです。
私はこういう場合、次のように考え、行動します。
これでToodledoのタスクリストから「メールチェック」が消えました。このまま、Toodledoから次の指示が来るのを待ちます。そして、「スターの付いたメールに返信せよ」という指示がきたら、それを実行します。
さらに夜になると、Toodledoから、見えないようにした「明日のメール」を受信トレイに戻してラベルを外せ、という指示がきます。そこで今度はこの指示に従い、受信トレイに未返信メールを戻して「Gmail内のタスクリスト」にします。
このように、私は完全に「タスクの一元化」をしているわけではありません。重要なのは複数のタスク管理ツールに上下関係を付けておくことです。私の環境では、もっとも偉いのはToodledoであり、そのサブタスク管理ツールとして、GmailやEvernoteやMindMeisterなどがあるわけです。「今何をやればいいんだっけ?」となったときは、常にメインの(一番上にある)ツールに立ち返って考えればいいのです。
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心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。
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