コストダウンを理由に、研修の内製化を考え始めた企業も多いのではないだろうか。タカラトミーは新人に研修の運営自体を任せるなど、取り組みが面白い。タカラトミーの事例で内製化のあり方を考えていきたい。
10月の総務特集のテーマは新人研修。コストダウンを理由に、研修の内製化を考え始めた企業も多いかもしれない。今回はタカラトミーの新人研修の事例から、内製化のあり方を考えていきたい。
新人研修プログラムのほとんどが内製というタカラトミー。講師は社員が担当し、資料作りも社内でまかなってきた。
内製を徹底する理由はコストダウンのためではない。人事部の平野真理子担当課長は「社内の人間が講師になることで、会社でどんな仕事をしているかが理解しやすくなり、トップの理念がダイレクトに伝わります。社内の人間とコミュニケーションが図れますし、配属前から結びつきが強くなるはず」と説明する。
タカラトミーの研修は入社後から。内定者への研修は行っていない。「学生の本分、卒論、旅行など今しかできないことをしてほしい」というのがその理由だ。しかし、毎月1回リポートの提出を求めている。新聞、雑誌、ニュースなどから興味を持ったモノとその感想を提出してもらう。「中にはマンガなどもありましたが、それでもいいと思っています。おもちゃ作りのために、とにかくアンテナを張ってもらいたいので」と平野さん。
新人研修の前半は、社会人として基本的なことを学ぶ。ビジネスマナーのほか、PC操作、企画書の書き方などをグループワークで指導する。後半は実践形式で、企画立案をし実際にプレゼンをするほか、休日開催されるイベントを手伝ったりもする。ゴールデンウィークに開催した「プラレール博」には、シフト制で全員が参加。イベントに来ている子供の反応などを見て勉強するそうだ。
研修中は毎日日報を提出する。以前は交換日記のようにノートを使ってやりとりしていたが、現在はクローズドなサイト内で記すブログ形式を採用している。その日に学んだこと、悩み、提案などなんでもいい。人事担当者は必ず毎晩日報をチェックし、1人1人に返事を書く。とにかくタカラトミーはコミュニケーションを大事にしているようだ。
研修後、1年目は全員を「フィールドサポートチーム」という部署に配属する。小売店などに行き、売場の提案をしながら、お店の生の声、要望を聞く。この部署の仕事自体が研修のようなイメージだ。
また、2カ月に1度行われる「バリューチェーン研修」では、とにかくさまざまな立場を経験するという。お客様相談室で電話を受けたり、品質検査を体験したり、舞浜の倉庫で配送作業をしたり……。「いろいろな部署で苦労を体験することが必要だと思いますので」と平野さん。
バリューチェーン研修以降もアドバンス版の研修を行っている。これはより実践に近い企画開発研修で、ここで提案した企画の中にはあの爆発的にヒットした貯金箱「人生銀行」も含まれている。「提出した企画が、実際に採用されることも研修のモチベーションなっているようです」
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