アービーズ(Arby's)という、ローストビーフサンドイッチ専門チェーンをご存じですか?今回のサンドイッチは、米国留学中に食べた“あの味”をアレンジしたものです。
前回のうまくいかなかったハンバーガーのときに余ったバンズを使って、なにかサンドイッチが作れないだろうかと思案していました。
カツや魚のフライも考えましたが、私は揚げ物は作れません。そもそも、本連載のコンセプト(時間もコストもかけずに、おいしいビジネスランチを作る)に沿わないので、却下です。
「調理が不要」で「ほどほどの価格」で「ハムでもソーセージでもない」肉を使った具材はないものか考えた結果、米国に留学中によく食べた、ローストビーフを思い出しました。
「ローストビーフ? 高級食材では?」「それこそ自分で作れないし……」
なるほど、確かに日本では、ローストビーフは高価な食べ物という印象があります。ところが、アメリカではイースターやサンクスギビングなどに家庭で作られる伝統的なメニューなので、比較的身近な食べ物でした。
突然ですが、アービーズ(Arby's)という、ローストビーフサンドイッチ専門チェーンをご存じですか?(Wikipediaの情報では、1981年に日本に上陸したものの、現在は完全撤退しているようです)
ローストビーフを使っているとはいえ、価格はハンバーガーチェーンと同レベル。「バーガーキングにする? それともアービーズ?」くらいの感覚で、留学中はよく食べに行っていたものです。当時、私にとってイチバンのサンドイッチチェーンがアービーズでした。
あの味を再現できないか、と考えました。
ローストビーフは、肉に塩とこしょうを塗りこんで、オーブンで焼くだけのシンプルな料理ではあるのですが、私に作れるはずもありません。ですから、代用品が必要です。「調理が不要」で「庶民的な価格」で、かつ「ハムでもソーセージでもない」肉といえば、アレしかありません。
そう、“焼き豚”です。ビーフがダメなら、ポークで代用すればいいのです。
焼き豚とパンの組み合わせはとっつきにくい印象もありますが、トルコ料理でピタパンとローストした牛肉のケバブサンドイッチがあります。しかし、焼き豚が合うのかな? まずかったらどうしよう、とヒヤヒヤしながら作ってみました。
ローストビーフの味付け(調味料?)はホースラディッシュ(西洋ワサビ)と相場が決まっています。どこで買うのか分からないので、冷蔵庫にあった練りわさびで済ませました。
また、ローストビーフサンドイッチについて調べたら、ケチャップではなくドレッシングで味付けするのが一般的なんだそうです。ということで、これまた冷蔵庫にあったサウザン・アイランド・ドレッシングを使います。
コツは極限まで薄く焼き豚を切ること。べつにケチるわけではなく、薄く切ったものを層のように重ねた方が、パンにマッチしたふんわりした歯ごたえになるからです
「焼き豚+トマト+ドレッシング+わさび+マヨネーズ」という、異様な組み合わせにドキドキしながらひとくちかじってみると……、
「……おぉ! ものすごくおいしい!」
見た目はパッとしませんが、予想をはるかに越える出来映えに、自分でも驚きを隠せません。アービーズのローストビーフサンドイッチの味には遠く及ばないものの、これはイケます。ヒットです。わさびとドレッシングの持つ酸味が、焼き豚をやさしく包み込み、しつこさを感じさせません。病み付きになりそうです。
今回は焼き豚の量、トマトの厚さ、わさびなど調味料の量を変化させつつ、4つ試作してみました。その結果、個人的にもっともおいしいと思う具材の組み合わせは、
焼き豚は、醤油でひたひたに浸かったモノよりは、そうでない方がパンに合うと思います。
マヨネーズは多目にし、ドレッシングとわさびは控えめ。
だと思いました。
味もさることながら、なんといっても作るのがラクで、時間がかからないのがGOOD。
切って乗せて被せるだけの手軽さなので、弁当にも向いています。また、冷たくても、温かくても、どちらもおいしく食べられます。
だまされたと思って、試していただきたい一品です。
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