「ダンドリのみで3割アップ」の試験対策樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」

不景気で残業代が出なくなり、正規の労働時間内で成果を出すことが求められている。タイムマネジメントがますます重要になってきた。この考えは、実は試験対策にも応用できるのである。筆者の息子はダンドリだけで3割も成績が向上したのだった。

» 2009年10月02日 08時30分 公開
[樋口健夫,Business Media 誠]

 不景気で残業代が出なくなり、正規の労働時間内で成果を出すことが求められている。要するに、タイムマネジメントの必要性がこれまで以上に求められているわけだ。前回、筆者がどれだけ“計画マン”であるかを紹介したが、結局はこのタイムマネジメントに帰結する。そしてこれは大人だけの問題ではないのだ。

ダンドリを子供に伝授――それだけで成績アップ

 筆者は小学校でそこそこの成績だったが、中学1年の1学期にガクンと落ちた。それは定期試験対応が取れなかったためだ。「来週、全教科の試験を実施する」と言われて、どれから手につけてよいか分らなくなり、パニクって、どれも準備不足のまま、試験の日が来てしまい、全教科が壊滅的状況になってしまうということだ。筆者の場合は、中学3年に突然「こりゃいかん」と目覚めて、自己改革した。定期試験対応のダンドリマンになったのだ。

 この現象、結果的に息子で“検証”したこともあった。彼が中学1年になったとき、この最初の定期試験対応の準備の必要性を指摘するのをコロッと忘れてしまっていた。「おい、中間試験はいつからだ」「3日後からだよ」「そりゃ大変だ。それで勉強は?」「まあまあです」。こんな調子だったから彼の成績もそんな調子だった。本人は気にしていなかったが、筆者には成績の悪い理由がよく分った。定期試験の対応が全然取れていなくて、試験勉強の準備ができなかったのである。

 息子の中間試験後、直ちに父子で「緊急定期試験対策特別委員会」を設置した。ちゃぶ台を前に、全教科書とノートを持って来させて、新しい1冊のノートに、次の期末試験までの授業の進展予想やノートの取り方、苦手教科優先準備法、積み上げ式勉強法などを、みっちりと息子に教えたのである。試験2カ月前に1回目の委員会を開催したのを皮切りに、1カ月前、2週間前、1週間前と委員会を開催した。ただし実際の学習内容までは口出ししなかったし、教科ごとの具体的な指導もしなかった。ここは息子の頑張りどころだからだ。

 つまり、ダンドリをきちんと打ち合わせただけ、である。それだけで約3割(!)も成績が向上したのだった。定期試験対応委員会は、その後も中学2年、中学3年と続き、さらに二男、三男にも同じように設置した。

 できれば小学校6年生の親子にこの中学校向け定期試験対応を説明するべきだというのが筆者の主張で、すでに複数の小学校(東京都江東区)で過去2年間行った。子供やPTAの評判もいい。ダンドリだけで成績が大きく異なるのだ。このダンドリを指導するのは、社会に出て働いている親が適当だ。子供はダンドリが分からないが、会社でダンドリをしながら仕事している親であれば、ダンドリの専門家と言えるだろう。

家庭と同じことを会社でも

 子供にダンドリを伝授することは親にとっても良好なフィードバックが得られるはず。部下たちにも同じように接することで、営業案件の進捗を管理できるからだ。筆者も部下に対して、ノートや報告書の取り方、優先事項の準備などをみっちり、しつこく、せわしなく、進めていったものである。

 部下にとっても、数カ月放置しておいて締め切り直前に「はい、来週までに営業報告頼むよ」なんて言われるのはまっぴらだろう。主要案件がこけたら、別のもので穴埋めするのだが、穴埋めは急にはできない。段取りと計画をベースとして立てる必要があるのだ。

 「君、あの案件はどうだ? うまく行きそうか?」「大丈夫でしょう」「あのね、そんなに簡単にうまくいくとは思えない。もう一度、確かめてみろ」――こんな感じで嫌がる部下たちにしつこく絡んだ。もちろん筆者の取り越し苦労だったこともあったが、心配症な自分の思いを計画に切り替えていたのだった。

今回の教訓

 ダンドリでワークライフバランスを――。


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著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。近著は「仕事ができる人のアイデアマラソン企画術」(ソニーマガジンズ)「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちらアイデアマラソン研究所はこちら


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