「緊急ではあるが、重要ではない」第III領域の活動は、コヴィー博士いわく「他人の優先順位につきあっているということ」。この領域のことばかりやっていると、自分のことや本当に大切なことにいつまで経っても専念できなくなってしまいます。
実りある人生を送っている人々には共通する習慣があった――1996年に発売されて以来、ビジネスパーソンをはじめとする世界中の人々に多くの影響を与えたスティーブン・コヴィーのベストセラー『7つの習慣』。
ビジネスパーソンとしての自分、夫としての自分、テニススクールの一員としての自分、父親としての自分――さまざまな役割を担うあなたは、仕事以外にもするべきことが多いはずです。多くの役目をこなすためには「重要事項を優先する」こと。『「7つの習慣」セルフ・スタディ・ブック 第三の習慣』から、「ビジョン実現のための計画と自制」を学べる5編を抜粋してお届けします。
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第III領域は、「緊急ではあるが、重要ではない」領域です。人数合わせの会議や電話での勧誘やセールス、上司から突然のヘルプ命令や業務に関係のない指示。同僚からの些細な相談、意味のない接待など。何となく断り切れずに受けてしまって本来の仕事がはかどらなかったり、別のことに使うはずだった貴重な時間を邪魔されたりします。
心の中では「もっと早く言ってくれれば」とか「自分には関係ないのに」と思いながら、大して重要でもないことを引き受けてしまうのです。
コヴィー博士はこの第III領域の活動について「第III領域に共通していえることは、他人の優先順位につきあっているということだ」と述べています。
この領域に属する活動は、日常生活におけるさまざまな場面に数多く転がっています。頼まれると断りきれずに受けてしまう人は決して少なくないでしょう。
ただし気をつけなければいけません。この領域に多くの時間を費やしている人は、「イエスマン」「八方美人」タイプと思われてしまう可能性があります。
困っている人を助けてあげたと本人は思っているかもしれませんが、その人にとってさほど大したことではないから他人に頼むのです。したがって、そのときは喜んでもらえても、あなたが払った犠牲や果たした貢献など、すぐに忘れられてしまうと考えたほうがよいでしょう。
第III領域のことばかりやっていると、自分のことや本当に大切なことにいつまで経っても専念できなくなってしまいます。一見、周囲の役に立っているように見えますが、実際には他人主導であり、あなたにとって何の蓄積にも拠り所にもならない事柄に多くの時間を割いていることになります。
重要度は人によって異なります。あなたにとって重要なことと他人の重要なことは違います。他人の重要度に従って行動し、その瞬間は感謝されたとしても、あなたにとって重要なことが行えないのであれば何の意味もありません。
また、この領域にいる人は、「緊急で重要」な第I領域にいる人と同じように、忙しさ事態に自己満足してしまう傾向があるので注意が必要です。
キャロライン・ドネリーという人が「忙しいことと生産的であることの区別がつかない人がいる。そういう人は人間風車だ。せっせと仕事をするが、実際はほとんど何も成し遂げていない」と言うように、成果を出すことができず、評価を受けないことに対して「私はこんなに忙しい」を連発することになってしまいます。
あなたの周囲にもそのような人はいませんか?
最終回となる次回は、4つの領域の中でも最も意識しなければならない「緊急ではないが重要」な第II領域の事柄への対応についてお伝えします。さらに詳しい内容を知りたいという方は、書籍『「7つの習慣」セルフ・スタディ・ブック 第三の習慣』をご覧ください。
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