右脳・左脳――脳タイプ別、自分の強みを仕事に生かす方法研修に行ってこい!

人は外部からの刺激を受けると、脳の機能を使って考え、状況に対応します。脳のどのような機能を優先的に使うかは、人それぞれで異なります。今回は脳のタイプをうまく活用し、仕事で成果を上げるヒントを紹介します。

» 2009年09月14日 14時00分 公開
[原田由美子Business Media 誠]

 Business Media 誠の記事「右脳と左脳……脳のタイプによって年収が違う?」は興味深い記事でした。

 「自分の上司や部下を脳のタイプ別で選べるのだとしたら、どちらのタイプがよいか?」という質問に対して、上司に求める脳のタイプでは、「左脳タイプ」という回答が圧倒的で、部下に求めるタイプは、自分が右脳タイプの人の58.8%が、自分が左脳タイプの人の67.5%が自分と同じタイプを求めていると答えた――という内容です。

 今回は、こうした脳のタイプをうまく活用し、仕事で成果を上げるヒントを紹介します。

 人は外部からの刺激を受けると、脳の機能を使って考え、状況に対応します。脳のどのような機能を優先的に使うかは、人それぞれで異なります。しかし、脳がどのように働いているかを見ることは難しいですよね。そこで、自分自身の行動傾向を見ることで、自分が右脳と左脳、どちらを優位に使っているかを見ていきたいと思います。

 例えば、会議の席で人を観察していると、人それぞれ行動傾向に違いが現れます。同じ場面でどのような行動を取るか、その傾向の違いを、一般的に言われる左脳、右脳の領域に近づけて整理し、6つに分類したのが次の表です。表では、会議でよく見られる行動傾向の一部を取り上げました。自分がどの行動傾向に近いか、確認してみましょう。

左脳タイプの人の行動傾向右脳タイプの人の行動傾向
分析タイプ
【行動傾向】
・話すよりも聞き役にまわる
・話を聞くときは、メモを取りながら、なぜ、どうして、と本質や原因を考えながら聞いている
・全体の場で合意がしっかりとれる取り組みが好き
・自分の中で一度整理してから、慎重に行動したい
・確信がもてない状態だと、行動に移せない
【ほかの人から見ると】
・落ち着いていて、間違いのない人
・積極性に欠けるように見えることも
インテグレーター(統合)タイプ
【行動傾向】
・話をする際は、簡潔に、明瞭さや聞きやすさを考慮する
・話を聞くときは、ゴールイメージが気になる
・結果を重視した取り組みが好き
・意思決定が早く、即行動する
・行動に移すのは早いが、大雑把にイメージするので、具体的なプロセスでの抜け・モレが多い
【ほかの人から見ると】
・大胆で、実行力のある人
・うっかり者に見えることも
論理タイプ
【行動傾向】
・自分の考えに自信を持って、主張する
・話を聞くときは、話の矛盾や飛躍が気になる
・将来の理想を描き、そこへ至るプランが明確な取り組みが好き
・自分の考えに合うと、即行動する
・自分が納得しないと、行動に移せない
【ほかの人から見ると】
・冷静で、しっかりしている人
・わがままに見えることも
フィーリング(感性)タイプ
【行動傾向】
・思ったこと、感じたことを素直に表現する
・話を聞くときは、自分に興味のあることだと集中力が増す
・流行を取り入れた取り組みが好き
・周囲に合わせて、行動したい
・その日の気分で、行動にバラつきがでる
【ほかの人から見ると】
・ムードメーカー、癒し系な人
・気分屋に見えることも
統制タイプ
【行動傾向】
・仲間の考えや意見を尊重して発言する
・話の結論だけでなく、プロセスも大事にしたい
・仲間が喜ぶ取り組みが好き
・みんなで決めたことを着実に遂行する
・朝令暮改のように、方向が変わると動きにくい
【ほかの人から見ると】
・親分肌で、面倒見のよい人
・頑固に見えることも
クリエイター(創造)タイプ
【行動傾向】
・人が思いつかない新しい考え方や方法を提案したい
・話を聞くときは、頭に映像を描きながら聞く
・ほかではやっていない、新しいことをするのが好き
・ほかの人がやらないことを見つけ、自発的に行動する
・決められたことをするのが苦手
【ほかの人から見ると】
・自由で、発想力豊かな人
・あきっぽく見えることも

 このようにタイプに分けると、「どんぴしゃ」「まさに」という人もいれば、その時々でタイプを使い分けるという人もいるでしょう。

 タイプを使い分けるという人は、本来自分が得意としている行動傾向をコントロールし、その状況に合わせています。それは、経験や立場の中で鍛えられてきた能力といえます。

 このように行動傾向を把握することにより、自分自身の個性を極めるもよし、立場や状況に応じて自分自身をうまく演出するもよし。環境に合わせて自分をプロデュースすることができます。

 さて、それではこのような違いがある中で、わたしたちはこの違いを仕事の場面で、どう生かしていったらよいでしょうか?

 先ほど紹介した記事によると、上司、部下には同タイプを望むケースが多いようですね。同タイプであれば、相手の考えていることがキャッチしやすい、いわゆるあうんの呼吸を求めているのかもしれません。

同じタイプ、違うタイプ……結果に違いはあるのか?

 少し違った視点で考えてみます。研修で次のようなワークをすることがあります。

 考え方や感じ方が違う人同士がうまくコミュニケーションをとるために、工夫が必要であることを理解し、どのように工夫すればよいかを考えるのがワークの目的です。

 そのために、あるグループワークを2回実施します。その際に、1回目のグループワークでは、タイプが同じ人のチームを作ります。2回目は、タイプがバラバラになるようチームを作ります。同じタイプの人でチームを組んだ場合、まずは個人作業から始め、後から意見交換するチーム、最初から思いついたことをどんどん話していくチーム、役割分担を決めて作業に取りかかるチームなど、そのタイプの特徴が顕著になります。また結論も、そのチーム“らしさ”が表れます。

 違うタイプの人でチームを組む場合は、最初の進め方で戸惑います。黙々と考え始める人もいれば、きょろきょろと周りの様子を見ている人。いろいろな行動傾向が見られます。そして、結論を出す際には、話し合いがなかなか進まず結論が出ないチーム、リーダーとなる人の存在でうまくまとまるチーム、ボスキャラ的な人に強引に押し切られるチームなど、結果にバラつきが出ます。

 参加者に意見を聞くと、1回目は、「スムーズに話し合いが進んだ」という感想が多いのに対し、2回目は「うまく話し合いが進まず、ストレスがたまった」という感想が多くなるのが特徴です。このようなケースを見ると、同じタイプを望む気持ちが理解できますよね。

タイプを生かすには?

 さて、それでは現実の組織の中ではいかがでしょうか? 同じタイプ同士でチームを組めることの方がまれですよね。それでは、違うタイプの人が上司や部下、後輩だったりした時、わたしたちはどうすればよいのでしょうか?

 まず始めは、仕事の基礎的な手順を外さないことです。例に挙げた会議であれば、どのようなタイプの人でも会議をスムーズに進行できるように、「会議の進め方」といった方法論があります。こうした方法論を学び、できるようにしておくのも大事ですよね。方法論は、1冊書籍を購入するのもいいですし、ITmedia エンタープライズの記事「ここ一番の会議は『段取り力』で勝負」を参考にしてみるのもいいでしょう。

 基礎手順を守った上で、自分自身の傾向をしっかり把握し、強みを生かすこと。そして仲間の強みを見つけ、生かしたり、引き出せたらいいですね。次回は、自分の強みを伸ばすヒントをご紹介します。


著者紹介:原田由美子(はらだ・ゆみこ)

 大手生命保険会社、人材育成コンサルティング会社の仕事を通じ、組織におけるリーダー育成力(中堅層 30代〜40代)が低下しているという問題意識から、2006年Six Stars Consultingを設立、代表取締役に就任。現在と将来のリーダーを育成するための、企業内研修の体系構築、プログラム開発から運営までを提供する。

 社名であるSix Starsは、仕事をする上での信条として、サービスの最高品質5つ星を越える=お客様の期待を越える仕事をし続けようとの想いから名付けた。リーダーを育成することで、組織力が強化され、好循環が生まれるような仕組みを含めた提案が評価されている。


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