「どうしても今やらなきゃ!」の葛藤を解消するあなたの不安、見積もります

「何かをやらなかった後悔」に恐れを抱くあまり、どうしてもできないときまで「行動を起こすべきだ」という考え方にとらわれてしまっている人がいます。

» 2009年09月03日 15時26分 公開
[佐々木正悟,Business Media 誠]

 何事も前向きに考える「ポジティブシンキング」の時代のようです。それ自体はもちろん悪いことではありません。しかし、「何かをやらなかった後悔」に恐れを抱くあまり、どうしてもできないときまで「行動を起こすべきだ」という考え方に呪われているような人がいます。先日、こんなお話をいただきました。

ビジネスパーソンの不安ポイント

 仕事にも言えることなのですが、「今は忙しいから勉強をしない」とか「今は本気で取り組めないからダイエットしない」といった決定をしようとすると、「それはいいわけに過ぎないのではないか」と不安な気持ちになってしまいます。「このままでは、自分は何も成し遂げられずに一生を終えるのではないか」と。でも、やっぱり時間が取れないのです。ムリをしすぎて、身体を壊したりすることもまた、心配です。


 こうした方の「不安」をことごとく取り除くのは、実際容易ではありません。「勉強すべきだ」とか「ダイエットすべきだ」というのは、いってみればほかからの圧力です。が、とはいえご本人もまた「そういうことを前向きにやりたい」のです。こちらもまた本当でしょう。

 このように「やりたいこと」「やるべきこと」に引っ張られながら、同時にそれが、「やるべきではないこと」「少なくとも今はやらずにおきたいこと」であったりもします。このような、同一の対象が魅力的でもあり、またネガティブ要因でもあるために、その対象に近づきたく、同時に離れたくなることを、

  • 近接−回避の葛藤

といいます。

“先送り”は必ずしも悪ではない

 私たちの身の回りには、じつにこの種の葛藤要因が多いものです。例えば、甘いものが大好きな人がダイエットしている最中には、チョコレートがその要因に当たります。あるいはまた、魅力的だが一緒になると不都合をたくさんもたらしてくれる、異性のパートナーなどもそうかもしれません。人は、そんな対象に近づきたくもまた離れたくもなるため、心に迷いが生じてしまって決断できなくなるわけです。

 具体的な対策はいくつか考えられるでしょうが、「不安を取り除く」という目標に絞るなら、GTDの「いつかやる」の考え方を活用しましょう。簡単に言うと、葛藤要因を「やるか、やらないか」ではなく、「今やるか、そのうちやるか」に置き換えてしまうのです。そうすればどちらを選ぶにしても「やる」のですから、そこまで悩まずに済むでしょう。

 「“そのうちやる”と決めるだけでは、結局いつまでも終えられないのでは?」と思った方は、「前向きな先送り」のすすめと「先送りで仕事の効率を上げるには?」も参考にしてみてください。

セミナーのご案内

 9月17日(木)に「マインド×メンタルハック・スペシャルセミナー@大手町」を開催いたします。

 今回は「マインドハック」×「メンタルハック」の総集編的なスペシャルセミナーということで、

  • ライフハックの心理学【集中・ストレス・記憶・モチベーション】
  • 「減らす技術」の実践ワーク
  • 佐々木の今後の活動の予告編【人間関係・デザイン・発想法を中心に】

 などなど、以前お話ししたことのまとめから、今回改めて盛り込むことまで、盛りだくさんの120分を一気に進めていきたいと思います。 詳細は以下のURLからご確認ください。


主催:佐々木正悟(協力 アイティメディア)
日程:9月17日(木) 20:00-22:00
場所:千代田区大手町1-3-1 JAビル7F(地図・アクセス
定員:30名(先着順)
費用:1万円(税込)

お申し込みはこちらからどうぞ。お間違いのないようご記入くださいますよう、お願いいたします。

筆者:佐々木正悟

 心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


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