「何かをやらなかった後悔」に恐れを抱くあまり、どうしてもできないときまで「行動を起こすべきだ」という考え方にとらわれてしまっている人がいます。
何事も前向きに考える「ポジティブシンキング」の時代のようです。それ自体はもちろん悪いことではありません。しかし、「何かをやらなかった後悔」に恐れを抱くあまり、どうしてもできないときまで「行動を起こすべきだ」という考え方に呪われているような人がいます。先日、こんなお話をいただきました。
仕事にも言えることなのですが、「今は忙しいから勉強をしない」とか「今は本気で取り組めないからダイエットしない」といった決定をしようとすると、「それはいいわけに過ぎないのではないか」と不安な気持ちになってしまいます。「このままでは、自分は何も成し遂げられずに一生を終えるのではないか」と。でも、やっぱり時間が取れないのです。ムリをしすぎて、身体を壊したりすることもまた、心配です。
こうした方の「不安」をことごとく取り除くのは、実際容易ではありません。「勉強すべきだ」とか「ダイエットすべきだ」というのは、いってみればほかからの圧力です。が、とはいえご本人もまた「そういうことを前向きにやりたい」のです。こちらもまた本当でしょう。
このように「やりたいこと」「やるべきこと」に引っ張られながら、同時にそれが、「やるべきではないこと」「少なくとも今はやらずにおきたいこと」であったりもします。このような、同一の対象が魅力的でもあり、またネガティブ要因でもあるために、その対象に近づきたく、同時に離れたくなることを、
といいます。
私たちの身の回りには、じつにこの種の葛藤要因が多いものです。例えば、甘いものが大好きな人がダイエットしている最中には、チョコレートがその要因に当たります。あるいはまた、魅力的だが一緒になると不都合をたくさんもたらしてくれる、異性のパートナーなどもそうかもしれません。人は、そんな対象に近づきたくもまた離れたくもなるため、心に迷いが生じてしまって決断できなくなるわけです。
具体的な対策はいくつか考えられるでしょうが、「不安を取り除く」という目標に絞るなら、GTDの「いつかやる」の考え方を活用しましょう。簡単に言うと、葛藤要因を「やるか、やらないか」ではなく、「今やるか、そのうちやるか」に置き換えてしまうのです。そうすればどちらを選ぶにしても「やる」のですから、そこまで悩まずに済むでしょう。
「“そのうちやる”と決めるだけでは、結局いつまでも終えられないのでは?」と思った方は、「前向きな先送り」のすすめと「先送りで仕事の効率を上げるには?」も参考にしてみてください。
9月17日(木)に「マインド×メンタルハック・スペシャルセミナー@大手町」を開催いたします。
今回は「マインドハック」×「メンタルハック」の総集編的なスペシャルセミナーということで、
などなど、以前お話ししたことのまとめから、今回改めて盛り込むことまで、盛りだくさんの120分を一気に進めていきたいと思います。 詳細は以下のURLからご確認ください。
主催:佐々木正悟(協力 アイティメディア)
日程:9月17日(木) 20:00-22:00
場所:千代田区大手町1-3-1 JAビル7F(地図・アクセス)
定員:30名(先着順)
費用:1万円(税込)
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心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。
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