「とにかく知り合いの数を増やす」戦略の価値とは――SNSで人脈メンテ法アラフォー起業家の“継続拡大”人脈術

SNSにたくさんの人を登録することで「おお、人脈が増えた!」と感じるかもしれないが、面識のない人をたくさん入れると自分のSNSが“薄まる”のだ。「ちょっとまずいな」と思う人とはつながらず人脈のメンテナンスをしてみよう。

» 2009年09月03日 12時00分 公開
[加藤恭子,Business Media 誠]

 SNSにたくさんの人を登録することで「おお、人脈が増えた!」と感じる人もいるかもしれない。確かに知人のアイコンや写真がずらっと並ぶとなんだかわくわくすることもある。だが、面識のない人をたくさん入れると自分のSNSが“薄まる”。そして、実際には役に立たなくなってしまうのだ。なので私の場合、以下の条件で登録する人を制限している。

あなたの参加しているSNSは、どんなSNS?

 Facebookやmixiなどいろいろな人が利用しているため、仕事やプライベートに関わらず知っている人からリクエストがあれば登録。ただし、いつも頼みごとをしてくるだけの人や、困ったときだけしつこくメールでアドバイスを求める人、プライベートなことを勝手に日記で流す人など、非常識な人はここで思う人とはつながらないようにする。

 前回も書いたようにLinkedInは現時点では日本語版がないので、外資系企業勤務時代の元同僚を中心に登録。人材紹介会社のリクルーターからのLinkの申し出は原則としてお断わりしている。入れてしまうと自分のネットワークに対してリクルーターが積極的に連絡をするので、自分のネットワークに迷惑がかかってしまうからだ。過去にそのようなことが起きた。著名人や大手企業の社長などは、自分のネットワークを非公開にする人もいるようだ(私は現時点では公開の設定にしている)。

 いきなり転職を求めてくるリクルーターは「私は自営だから結構です」と断ると「じゃ、元同僚を紹介して」などと言ってくる。「面識のない人はお断わりをしています」と断ると「じゃ、会社の前にスタバがあるから、明日そこで会って面識作ろう。おごるから」とか、とにかく欧米式の切り返しはすごい。もしかしたら、こういうちょっと強引なネットワーク作りもありなのだとは思うが、私があまり好まない方式なので、お断わりをしている。リストラをされた場合に、元気の良い積極的なリクルーターの存在はありがたいこともあるが、残念ながら彼らが狙っているのは、現在の会社で活躍している、いわゆる「高い給料を提示しても、求人している会社に売り込める」人たちが中心だったりする(給料が高いほうが、リクルーターが得られる成功報酬が高い)。

 知らない人からリクエストがきた場合、その人のネットワークや日記を確認している。とにかく数を増やしたいだけの人というのがいるので、その場合は基本的にお断わりをする。数だけ稼ごうという人は「個人」に目が向いていないことが多く、今後、接点がない可能性が高い。さらに相手の日記に興味関心がもてない場合、それが新着としてトップページに表示されてしまうことで、興味のある日記(つぶやき)が埋もれてしまう(だだ、mixiの場合は新着に表示させないという設定もあるし、Facebookでも表示の優先順位を下げる設定がある)。一方、日記がおもしろい場合は、面識がなくてもリンクすることもある。

「とにかく数を増やす」戦略っていいの?

 SNSによっては、使っているメールのアドレス帳を読み込ませることで、すでに誰が登録しているかを教えてくれる機能や、選んだ相手宛に招待メールを送る機能もあるのでそれも活用するといいだろう。LinkedInの場合であれば、私はGmailのアドレス帳を登録してあるので、そのアドレス帳にある人がLinkedInを使い始めると表示されるようになっていて便利である。

 私自身も厳密にうまく活用できているわけではないが、「とにかく数を増やす」戦略は「この人、誰でもいいんだ? とりあえず増やせればいいんだ?」と思われてしまう可能性があることと、何かをしようとして自分のネットワークをSNSで調べようとした場合に、知っている人が知らない人に埋もれてしまう可能性があり、この連載のテーマでもある「継続拡大人脈」の妨げになってしまう。

 ときにはSNSのネットワークの「棚卸」作業も必要かもしれない。じっくりと眺めて久しぶりに連絡をしたらよさそうな相手が見えてくることもありそうだ。

著者紹介:加藤恭子(かとう・きょうこ)

 IT誌の記者・編集者を経て、米国ナスダック上場IT企業の日本法人にてマーケティング・広報の責任者を歴任。外資系企業ならではの本社へのリポートの方法や、離れた地域にいる国籍の違う同僚とのコミュニケーションを通じて、効率よく実施する仕事のノウハウを高める。現在は、その経験を生かし、IT企業・組込み系システム企業のマーケティング・PR(広報)のコンサルティングを行うビーコミの代表取締役として活動。日本PR協会認定PRプランナー。

 日経BP社、翔泳社、アイティメディア、ダイヤモンド社、アスキーなどで連載や記事も寄稿。インターネットを活用したコミュニケーションも研究しており、複数の学会などでブログコミュニケーションやネットPRに関する発表をしているほか、「CGMマーケティング」(伊地知晋一著、ソフトバンククリエイティブ刊)の編集協力も務めた。青山学院大学国際政治経済学研究科修士課程修了。現在は某大学院の博士課程に在籍し、引き続きコミュニケーションを勉強中。


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