エコの取り組みが“面倒”、何かを“我慢する”というイメージが強い。「質素なことを我慢するだけがエコではない」を提唱するコクヨオフィスシステムのオフィスを見学してきた。
今や「エコ」はさまざまなところに存在する。オフィスでエコを強化している企業も多いだろう。しかし取り組みが“面倒”、何かを“我慢する”というイメージが強い。「質素なことを我慢するだけがエコではない」を提唱する、コクヨオフィスシステム(KOS)の霞が関オフィスを訪ねてみた。
KOSによれば、企業のCO2の排出量の約4割が“照明”によるもの。照明負荷をいかに軽減するかが課題だ。しかしテナントオフィスビルの場合、照明の改修は容易ではない。「配電盤も変えるなど大々的な改修は、なかなか費用の回収のめどが立たない」という。そこで提案するのが、既存の天井照明を利用しない照明システムだ。
KOSでは、人感センサー付きの照明システム「センサーライティングスタンド」を提案。人の動きを感知し、スイッチをオン/オフする。「照明の切り忘れに敏感になることもない。人の行動そのものがスイッチになる」(ソリューション本部の新井臨さん)
ちなみにセンサーライティングスタンドには、あえて蛍光灯を採用したそうだ。「LEDを導入するのは費用がかかり、まだまだハードルが高い。この照明システムは完成型ではありません。しかし1つの形として提案してみたい」(新井さん)
また内勤用のデスクにはPC上のインタフェースから自在に照度や色温度を変更する「インテリジェントワークライティング」(知的照明)を導入。就業時は高輝度にしたり、ランチタイムには照明はくつろぎモードの色味に変更も可能になった。
仕事に集中できるのはせいぜい2時間――KOSでは2008年から同じ席には2時間までしか座れない、フリーアドレス制オフィス向けの座席割り当てシステム「OfficeDARTS」を導入している。人がばらばらになり、照明の無駄なコストが発生しがちなフリーアドレス制だが、OfficeDARTSなら自動で人を集中的に配置でき、電気代も抑えられる。
そのOfficeDARTSがOfficeDARTS IIにバージョンアップ。これまで座席割り当ては「ソロワーク」に限定していたが、「チームワーク」というプロジェクト単位での座席の割り当てにも対応した。
「フリーアドレス制というのは基本はソロワークだが、どうしても仲がいい人同士で集まってしまう傾向があり、逆にコミュニケーションの活性化のさまたげになることもある。また、わざわざミーティングスペースの予約をしなければならないという手間もなくなる」(KOS)。バージョンアップによって、ソロワークだけでなくチーム内のコミュニケーションや生産性向上を図れるようになったというわけだ。
KOSの霞が関ライブオフィスは、2007年からオフィス構築のテーマを「RESONANCE FIELD」としている。3年目の今年は3.0にバージョンアップした。
今回は「Crash the RULE(クラッシュ・ザ・ルール)」と題し、オフィス運用や企業の固定観念を壊し、新たな発見や気づきを取り入れたワークスタイルを提案するという。
Crash the RULEは、利便性を上げれば生産性が向上するという「生産性向上の常識」、個人のパフォーマンスを追求すれば成果が上がるという「成果主義の常識」、効率化や管理の視点だけの「見える化の常識」、テナントビルでのエコ対応は無理という「執務環境の常識」を壊すというものだ。
コクヨの黒田章裕社長はRESONANCE FIELD 3.0で「企業のルールを変え、新しく道を切り開く、応援できるオフィスを提案できればと思う。働く場の価値を生み出し、そして価値を増強するようなオフィスの提案をしたい」と話す。
RESONANCE FIELD 3.0は「KOS Fair」として9月3日、4日の2日間、一般公開する。RESONANCEとは、鳴り響く、響き渡る、共鳴するという意味。固定観念を壊すというコクヨのオフィスで不協和音が鳴り響くのか、それとも生産性を向上させるのか、この機会に確かめてみてはいかがだろうか。
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