“い・ろ・は・す”を深掘り――身近な商品で発想する4つのステップ研修に行ってこい!

会社も世の中も、これからの時代に必要なアイデアを求めています。今回は、前回紹介した業界内理念を参考に、説得力の高いアイデアを生み出す簡単な方法をお伝えしましょう。

» 2009年08月24日 18時20分 公開
[原田由美子,Business Media 誠]
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 会社も世の中も、これからの時代に必要なアイデアを求めています。

 しかし、一生懸命に考えて出した意見やアイデアに対する反応が良くなかったり、周囲の人に協力を求めても、なかなかアイデアを出してくれなかったりと、自分がしていることに、徒労感を覚えている人も多いのではないでしょうか?

 今回は、説得力の高いアイデアを生み出す簡単な方法をお伝えします。

「アイデアを出そう!」「知恵を出そう!」

 まずは、前回の記事でお伝えした業界内理念を起点に考えていきます。トヨタ自動車の理念の1つ、

 クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球環境と豊かな社会づくりに取り組む

 は、すべてのビジネスで必要な視点だと考えられます。

 その重要な視点を自分の業務に落とし込もうとすると、テーマが大きすぎて、なかなかアイデアを出しにくいですよね。アイデアを出すためのちょっとしたコツがあります。それは、身近な体験情報を元に発想していく方法です。

プロの情報活用術

 今回ご紹介する方法は、著名なコンサルタントやマーケッターと言われている人が、日常的に取り組んでいるエッセンスを、誰でも取り組みやすいようにアレンジしています。

 彼らは、どんな時でも自分のビジネスの役に立つヒントやアイデアはないか、アンテナを立てています。プロなので特別なことをしているように思いますよね。しかし、意外にもそんなことはありません。

 普通の人が普通に送っている日常の中にヒントを見つけ、アイデアやコンサルティング先へのアドバイスに役立てています。また、彼らが特に大事にしているのは、自分自身の体験や同じ体験をしている人の声です。

 そんなものを自分でも楽しみながら収集し、ビジネスに変えていってしまいます。それではその方法をご紹介します。

 最初に彼らは常に仕事に対する問題意識として、「テーマ」を設定しています。そしてその後に、そのテーマに関連する体験情報としてまとめます。

 今回は参考までに「環境」をテーマに置き、“ぎゅっ”と絞れちゃうあの商品を取り上げてみたいと思います。みなさんも一度は体験したことがあるのではないでしょうか?

 それだけで世界を変える水「い・ろ・は・す」

 今までのペットボトルとは明らかに違う手触り。飲み終わった後に、簡単に“ぎゅっ”とできてしまうあの感じ。「い・ろ・は・す」はブログでもたくさん取り上げられていて、「楽しい〜」という感想もよく見かけます。わたしたちは一歩先を行くビジネスパーソンとして、ちょっと深掘りしていきましょう。まず次の表をご覧ください。

テーマ 環境
体験情報 日本コカ・コーラ “い・ろ・は・す”を飲む
ステップ1:感想 ・軽さにびっくり
・量も多くてお得な気分
・手に持った感覚が不思議
・ウォーターマイレージも低い!
・ひねるのが楽しい(1回やってみたかった)
・「俺、何度もやった」と水野さんが言っていた
・ネーミングもいい感じ
・ブログなどの書き込み情報も多い
ステップ2:ビジネスの視点 日本コカ・コーラのプレスリリースより
・従来品に比べ40%の軽量化が実現
・PET樹脂製造時の排出量削減効果、年間約3000トン
・約950ヘクタールの森林のCO2吸収量
●関連する情報
飲みたいミネラルウォーターは?(Business Media 誠の記事より)
ステップ3:知りたいこと 1. 開発のきっかけは?
2. 開発のスタート時期は?
3. 開発途中にあった出来事は? など
ステップ4:仕事に生かすには? 例えば……
1. 仕事の過程で出るゴミをなくせないか?
2. 仕事の時間を1時間減らせないか? 月間約20時間。年間480時間。その効果を考えると? など

 それでは、ステップ1〜4を詳しく説明していきます。

ステップ1:感想

 日常どのような場面でも構わないので、仕事で与えられているテーマを起点に、印象に残ったことを五感(視、聴、触、味、嗅)に従って素直な表現で、言語化します。

ポイント

 自分が感じたことを言葉にすることで、自分の考えや思いを表現できるようになります。


ステップ2:ビジネスの視点

 企業の情報や、関連する情報を調べます。

ポイント

 データ情報も集めておくと、後々リポートにする際など、客観的な視点を元に論理性高く意見を伝えられます。


ステップ3:知りたいこと

 自分が気になったこと、知りたいことを書き留めます。

ポイント

 表面的な情報から、一段深堀した情報を得るプロセスです。この情報こそ、ビジネスに生かせるアイデアを得る可能性が高まります。


ステップ4:仕事に生かすには?

 「例えば?」と自らに問いかけ、思いつくままに書き出します。

ポイント

 「例えば?」という問いと、思いついたことをたくさん書き出すことで、発想に広がりが出てきます。


 この4つのステップを、日常のちょっとした体験を元にためていきます。最初はこのためるというプロセスが重要ですので、まずはとにかく量をためましょう。そしてある時、ふとひらめく瞬間がくるので、そのタイミングまで待ちます。たったこれだけを続けていくだけです。

 仕事で「アイデアや発想を出せ」と言われても、なかなかよいアイデアは浮かびにくいですよね?

 でも、日常の場面から自分が興味や関心を持ったことを、ちょっと深く調べてみることはできるのでは? また、日ごろ体験していることであれば、仲間同士での話し合いも意見を出しやすいですし、仲間の新たな側面も見えて楽しめるはずです。

講師プロフィールと休憩時間が成功の秘訣?

 そして研修や講演会に参加する機会があれば、休憩時間などを活用して、講師や参加者から、自分が収集している情報やアイデアに対して、新しい情報や客観的な意見を求めてみましょう。

 というのも、あなたの会社で研修を担当する講師の多くは、担当する研修のテーマの倍以上の専門分野と経験を持っています。しかし、依頼内容や時間的な制約から、担当する研修のテーマの一部を軸に展開しています。

 そこで、可能であれば事前に講師のプロフィールを入手しておきましょう。その講師のバックグラウンドや専門分野、著書などがあれば目を通して、自分の仕事に役立ちそうな質問を準備しておきます。

 休憩時間を活用してする質問などは、その日の研修や講演テーマと関係がなくても一向に構いません。もしかしたら、あなたの質問で、研修参加者全体にとっても役立つ話が引き出せる可能性もあります。

 是非日ごろ収集している情報の肉付けや、アイデアに対する第三者的な発想や意見を求めてみてください。その前向きなアクションが、あなたとあなたの仲間のアイデアに磨きをかけてくれるきっかけになるはずです。楽しくアイデアを出しながら、目指す成果に近付けていってくださいね。


著者紹介:原田由美子(はらだ・ゆみこ)

 大手生命保険会社、人材育成コンサルティング会社の仕事を通じ、組織におけるリーダー育成力(中堅層 30代〜40代)が低下しているという問題意識から、2006年Six Stars Consultingを設立、代表取締役に就任。現在と将来のリーダーを育成するための、企業内研修の体系構築、プログラム開発から運営までを提供する。

 社名であるSix Starsは、仕事をする上での信条として、サービスの最高品質5つ星を越える=お客様の期待を越える仕事をし続けようとの想いから名付けた。リーダーを育成することで、組織力が強化され、好循環が生まれるような仕組みを含めた提案が評価されている。


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