いま掃除しかできないんだったら、掃除をやるしかない――創造的選択インタビュー全文公開(前編)達人のクリエイティブ・チョイス(5/6 ページ)

» 2009年07月22日 21時00分 公開
[鷹木創,Business Media 誠]

イケるかどうかは、その先のイメージも必要

細谷さん

堀内 この本にも書きましたけど、起業のコンテストでやっぱりいい点数取るというか、優秀な方が語ることというのは本当に自分のことなんですよね。個人的なテーマなんですけど、突き詰めて考えているので、ある種共感を呼ぶんですよね。確かにそういうことが自分とか、自分の友達に起きているなあとか。

吉川 最後は個人にほれるってことですもんね。ぼくらもあんまり言えないんですけど、博報堂生活研究所なんですけど、すごいカヤックと似てるなと思ったんですけど、打ち合わせで、つまんないのははじきます。すぐ「つまんない」って。研究所なのに。「深く考えてみよう」とかやらない。

堀内 それ以上の理由付けってないんですか? 「つまんない」でおしまいなんですか?

吉川 つまんないというか、だんだん話題にしなくなる。

堀内 キビシイですね、それってね。

吉川 だからつまんないこと出してると自分で分かるんです。

堀内 あ、本当?

吉川 冷たいですよ〜。

堀内 それはでも、もうなんというか、事前に分かるんですか? 出さなきゃ分からないじゃないですか、つまらないかどうかは?

吉川 それはだから、それで学んでいく。どうするとこのテーブルを超えていけるかっていうか。この集団を超えていかないと、生活総研のアウトプットにさせてもらえないわけですよ。だから、少なくとも10人ぐらいの共感をつかまないとアウトプットにならないから、そこを抜けてったものしか僕らは出してないから、そこがリトマス試験紙みたいになっている。

堀内 なるほどね。カヤックもそういう感じなんですか。

柳澤 最終的にアウトプットされるものはそうですね。ただ、つまらないものも肯定しながらブレストしますね。外に出す最後の形にたどりつくまでには、かなりの数の「つまらないモノ」を通ってきたものなんです。

 ただ、コレがイケるかイケないかは、先のイメージが想像できるかどうかの視点も必要になってくるともいます。直感だけでなく。出てきたものがイケているイケていないかっていうところの能力と、その先どこまで発展するかを見抜ける能力はまたちょっと違う気がしますね。形にならないと初めて「イケる」って分からない人と、この先までイメージして「イケる」って人はまたちょっと違う気がするから。そして、それはたぶん全員に見えてないんですよ。その本人にしか見えていないこともいっぱいあるんですよね。なので、そこは鍛えられない気がします。

堀内 その本人というのは、アイデアを出した本人ってこと?

柳澤 出てきたものがイケてるかイケてないかは、たぶん直感力がある人ならみんな判断がつくんだけど、その先のものはある一部の人しか見えてないてことは結構あります。ほかの誰かが見ても、いまいちピンときてなくても、その人だけは確信を持っている。そういうプロジェクトのほうが多い気がします。

堀内 この先っていうのは、要するに世に出てそこからどう……。

柳澤 そうですね。コレを見てみんながいいねっていうものはもう、先にアイデアが出回っているんですよね。きっと。その人にしか見えていない部分というところこそ、オリジナリティのある部分なんです。で、そこはどうやっても鍛えられない気がします。出したアイデアがイケてる、イケてないというのは、鍛えられると思うんですが。

堀内 ある種、批評のスキルだから。

柳澤 そうそうスキルだから。ほかとのパターン、過去の経験則からいうことができる。

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