『毎日が自分との戦い』――日本最強の化学メーカーを育てた社長の軌跡藤沢烈の3秒で読めるブックレビュー

国内化学業界における時価総額トップ企業は、花王でも富士フイルムでもない。半導体シリコンや塩ビで世界トップシェアの信越化学工業だ。金川社長は、どのように日本最強の化学メーカーを育て上げたのだろうか。

» 2009年07月17日 11時47分 公開
[藤沢烈,Business Media 誠]
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 国内化学業界における時価総額トップ企業(2009年7月現在)は、花王でも富士フイルムでもない。半導体シリコンや塩ビで世界トップシェアの信越化学工業である。けん引してきた金川千尋社長が、日経新聞「私の履歴書」に連載した内容をまとめた『毎日が自分との戦い』を取り上げる。

金川千尋社長の軌跡

 金川氏は35歳で商社から信越化学に転職、まずは海外で活躍する。ニカラグアや米国での会社設立を通じ、カントリーリスクや合弁会社の解消といった課題を体感した。その後56歳で国内に戻り、赤字続きだった塩ビ事業を再建し、64歳にして社長に就任。その後も勢いは止まらない。関連する事業買収を次々に手掛け、2008年には売上1.4兆、経常利益3000億に達した。

 金川社長の原点は、60〜70年代に海外で経営経験を積んだことにある。海外政府や企業とのタフな交渉が、国内事業の早期回復や社長時の積極的な海外展開につながった。

あえて傍流を選ぶ

 花形事業部に入ることが出世の道と考える人は多い。しかし現体質では成長できないのが今の日本企業だ。誰も好まないし小さいけど、どこか気になる事業部へ進む。そこでの成功経験が、会社と自分の未来を創るかもしれない。

著者紹介 藤沢烈(ふじさわ・れつ)

 RCF代表取締役。一橋大学卒業後、バー経営、マッキンゼーを経て独立。「100年続く事業を創る」をテーマに講演・コンサルティング活動に従事。創業前の若者に1億円投資するスキームを企画運営し、話題を呼ぶ。「雇われ経営参謀」として500人以上の経営・企業相談を受けてきた。ブログに毎日書評を掲載し、現在1000冊超。


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