不安は記録して、冷静なときに検討するあなたの不安、見積もります

いつもいつも「不安になる」反応を繰り返していると、そのクセがついてしまいます。逆に、「不安にならないで済む考え方」を粘り強く続けてみると、次第に心は強くなっていくのです。

» 2009年07月09日 11時00分 公開
[佐々木正悟,Business Media 誠]

 先日、セミナーを終えたところで、聴衆の1人が面白い“告白”をしてくれました。彼は、「佐々木さんが『ご質問どうぞ』と何度も繰り返し言っていたのに、ついに1度も質問することができなかった。気を悪くしているのではないか?」と尋ねてきたのです。

 私はびっくりして「どうしてそんなことを思ったのですか?」と逆に尋ね返してみました。「極度の引っ込み思案」だという彼の話によると、「質問したいと何度も思ったが、馬鹿な質問をするものだとほかの聴衆に思われるのが怖かった。けれどもそのうち、1度も質問しようとしない自分のことを、佐々木さんが『話がいのない人だ』と思うような気がして、不安になった」と言うのです。

ビジネスパーソンの不安ポイント

 同僚、上司を問わず、人にどう思われているかが不安です。転職の面接などでも、面接官にどう思われているかが気になり過ぎて、毎回気が重くなってしまいます。


 実際のところ、冒頭に挙げた方ほど内向的な人は少ないでしょうが、人はあまりにいろいろなことが気にかかり始めると、にっちもさっちもいかなくなるのが普通です。質問しようとすればそれが不安になるし、質問しないでいれば、それもまた不安になってしまうように、解釈次第では何でも不安のタネになりうるからです。

 こういう人はどうしたらいいか? 実はカウンセラーや専門家の間でさえ、意見は分かれています。社会的不安を重く見る人は、「それは要するに一種の病気だから、専門家に相談し、治療を受けるべきだ」と言います。もちろんそれに対し、「その程度のことで、必要以上に深刻になることはない。もちろん病気なんかではない」と言う人たちもいます。

 私自身の意見としては、いずれにせよ「不安」が精神的にかなりの苦痛をもたらし、生活や仕事に悪影響を及ぼしていると感じているなら、カウンセラーに相談したり、常識的な内容の「リラクセーション法」などの本を読むのは、悪いことではないと思います。また、あくまでも1つのやり方として、「他人にどう思われるか」といったことで強い不安を感じたなら、感じたときにその場で紙に書き、後ほど「そういう感じ方を覆す考え方を採用できないか」と検討してみる方法もあります。

粘り強く「ものの見方を変える」


 「ものの見方を変える」方法など、とっくにやっているし、あまり効果もなかった、という方もいるでしょう。確かにそれほど劇的な効果が上がらないこともあります。けれども、何の手段も講じることなく、ただ「不安になってしまう」ことを野放しにしておくのは得策ではありません。それよりは、日時/場所などの客観的情報を交えながら、不安に感じた事実を記録し、その対策を冷静な時間に検討することが、後々必ずよい結果をもたらすものです。

 社会の中でサバイバルをしている人間にとって、人がどう思うかを気にして不安になったとしても、別に不思議はありません。ただ、いつもいつも「不安になる」反応を繰り返していると、そのクセがついてしまうのです。逆に、「不安にならないで済む考え方」を粘り強く続けてみると、次第に心は強くなっていくのです。

「勉強法 + 英語ハックス」セミナー開催のお知らせ

 7月13日(月)、あすなろBLOGセミナー「勉強法 + 英語ハックス」を、Lifehacking.jpの堀正岳さんとふたりで、銀座にて開催いたします。

 このセミナーにはぜひ、「英語ができるようになりたい」という人よりも、「英語が使えるようになりたい」という方に来ていただきたいと思っています。お申し込みは、「ライフハックス心理学」のお問い合わせフォームから、お願いします。※「勉強法 + 英語ハックスセミナー参加希望」とコメント欄に必ずご記入ください。

タイトル:あすなろBLOGセミナー「勉強法 + 英語ハックス」

主催:あすなろブロガー 佐々木正悟・堀正岳

協力:あすなろBLOG(パソナテック)

開催日程 7月13日(月) 19:00-21:00【開場は18:30】

場所:銀座TSビル4F パソナ研修室4C(地図

定員:120名【定員になり次第、〆切とさせていただきます】

費用:3000円

※懇親会あり(会場・費用とも別になります)


筆者:佐々木正悟

 心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


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