62歳の女性が、大学入学を反対されて答えた言葉――「3年たてば、何もしなくても65歳になるわ」：「7つの習慣」セルフ・スタディ・ブック 第一の習慣

ビジネスの世界では、状況を正確に認識し解決策に導く知恵と、実際に行動に移す率先力の両方が必要です。率先力とは、ごり押しの力ではなく、自ら進んで状況を改善する行動を起こすパワーをいいます。

「7つの習慣」セルフ・スタディ・ブック with DVD Vol.2　第一の習慣：主体性を発揮する

　実りある人生を送っている人々には共通する習慣があった――1996年に発売されて以来、ビジネスパーソンをはじめとする世界中の人々に多くの影響を与えたスティーブン・コヴィーのベストセラー『7つの習慣』。7つのうちの最初の習慣であり、残りのすべてのベースとなるのが「第一の習慣 主体性を発揮する」です。誰にでも存在する「主体性」に磨きをかけ、高いレベルまで開発するのをサポートする5編を抜粋してお届けします。

　「もっといい仕事がしたい」「営業成績を上げたい」「部長までは昇進したい」「会社を経営してみたい」……こういった思いや望みはほとんどの人が持っているものでしょう。

　しかし、現状を見渡し、今の自分を見たとき、「なれるはずがない」「まあ無理だろう」「せいぜい課長ぐらいにはなれるか」といった諦めにも似た思いを持つことも少なくないのではないでしょうか。

　しかし、本当に無理なことなのでしょうか。多くの人は、そのためにとるべき方法も本心では分かっています。

　いい仕事をしたいと思えば、「現状をきちんと洗い出して分析し、問題点に関して勉強し知識を深め、その問題点に対して自分なりの考察をまとめ、上司や経営陣にプレゼンテーションする」ことが必要なことぐらいは、中堅のビジネス・パーソンならば分かっていることです。

　また、何か問題があれば、解決すべく速やかにアプローチを行うのがビジネスの世界の基本中の基本であり、ビジネス・パーソンとしての常識であることも知っています。

　しかし、それを実行に移すのはなかなか難しいというのが現状ではないでしょうか。

　「何をどう分析すればいいのか分からない」「どう勉強すればいいのか見当もつかない」「プレゼンテーションする知識もスキルもない」などという声をよく聞きます。

　こういう人たちは、誰かが助けてくれたり都合のいいことが起こるのをただ待っているだけです。自分からは何も行動しないため、結局、何も変わらず、問題だと思ったことは解決しないまま、ずるずると時だけが過ぎていきます。

　そして、組織や環境に対して、「何もしてくれない」「状況が悪い」と不平・不満を並べ立て、さらに自分や周囲のモチベーションを下げてしまうことになるのです。

　ビジネスの世界では、状況を正確に認識し解決策に導く知恵と、実際に行動に移す率先力の両方が必要です。

　率先力とは、ごり押しの力ではなく、自ら進んで状況を改善する行動を起こすパワーをいいます。

　フランクリン・コヴィー社の創設者の1人である、ハイラム・スミスは著書の中で、自分の母親について次のような逸話を紹介しています。

　私の母は62歳のとき、ハワイ大学で第二の学位を取得しようと決心したのだが、そのことに同年齢の女性が異論を唱えたことがあった。その女性は母に対して、こう言った。

　「ルース、ばかげてるわ。学位を取るまで3年かかるんでしょう。3年たったら、あなたは65歳じゃないの」

　母はその女性のいったことをしばらく考えていたが、笑顔でこう答えた。

　「3年たてば、何もしなくても65歳になるわ」

　いかがでしょうか。

　何もしないでいたずらに年を重ねるか。自分自身に対し率先力を発揮して、自分の人生を自分で作り上げていく道を選ぶのか。

　あなたはどちらを選びますか？