「2009年後半はやりたいことをやる」ための「手帳の使い方」とは手帳の学校(2/2 ページ)

» 2009年07月06日 16時56分 公開
[鷹木創,Business Media 誠]
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「何からやる?」は「HIROEN」で決める

 タスクの優先度はどう決めたらいいのだろう。水口さんはスケジュールに書き込んだタスクを「HIROEN(ひろうえん)」に分解。HIROENとは、「15年くらい前に流行ったDIPS(知的生産性向上システム)の考え方によるもの」で、H(Hear:聞く)、I(Inform:知らせる)、R(Request:頼む)、O(Operate:作業)、E(Examin:調査・検討)、N(Negotiate:交渉する)の略である。

 「OとE以外は他人がからんでくる。早め早めに取りかかること。OとEは基本的には自分でやるべき仕事だけど、Eの調査・検討はその結果によってタスクの質がだいぶ変わってくるから早めに」。つまり作業以外のタスクは早め早めに取りかかる必要があるのだ。

 他人にお願いする仕事や調べものなどは時間が読めない。特に上司と仕事を頼む相手は、有休や出張の予定を押さえておいて間違いない。自分の仕事の段取りにどういう影響を与えるか分からない、不確実なものほど先に実行するべし――というわけだ。

 突発的な仕事が舞い込んで時間が足りない場合、選べる選択肢はそれほど多くない。(1)アポイントかタスクを移動して調整する、(2)人にお願いする、(3)断る――といったところだろうか。

 1ができるならそれに越したことはない。またそのためにも普段から早め早めに仕事を片付けておいたほうがいい。3は、もう自分自身の決断だ。よく考えたらやらなくていい仕事は断るのも英断である。難しいのは2。できると思ってやってみたらこの時間で終わらない、ということもよくあるはず。そういう時に限って締め切りまでの時間がなかったり、ほかの仕事も納期が迫っていたりする。だが、仕事を振られた側も部下はギリギリで振られるのも困るのだ。原因はほかでもない「自分自身が自分でやらないという判断が遅かったから」。

 なるべく直前で仕事を振らないよう、どの仕事にどれくらいかかるかという見積もりを取ることが大事だ。「手帳でタスクの記録を取っている。時間を書かないと、仕事にどのくらいの時間がかかったのかが分からない。すべての仕事じゃなくてもいいから、ある程度の時間を書いておくとかなりの発見がある」

 また突発的な仕事で予定していたタスクができない日は自分を責めがち。そんな時も水口さんは理由を書いておくという。「できなかったら、その理由を書いておくといい。気持ちも楽になる。できたことも書いておくと達成感につながる。いろいろ記録的に取ってみるのもオススメ」

長期プロジェクトは“夏休みの計画”

 半年以上の長期的な目標を実現するには、「タイムマネジメントの5つのステップ」が重要だという。普通、目標を実現するためにやることを決め、(計画策定)、いつやるか(予定)が決まったら長期的な目標もできそうだが「意外とできない」

 ポイントは、夢、目標、計画、予定、約束という5つのステップだという。「夢は期限を決めると目標になる。目標は何をやるかを決めると計画になる。計画はいつやるかを決めて予定になる。予定を実行する時間を確保することで約束になり、約束は実行できるようになるはず」

 例えば夏休みの計画だ。6週間という期限から全体のアウトラインを決め、何週目までに実行するなどと、外枠から具体化したほうが実行できる。ただ、月ごとに考えないほうがいいかもしれない。というのも、人によっては月末に追い込む人もいるからだ。「そういう人は中だるみしたり。月をまたぐと日数の感覚がつかみづらくなる。であれば週単位で考えるといい。1週間に80時間必要なプロジェクトは普通割り当てられないけど、20時間ならあり得る。20時間のプロジェクトが3つ以上になってしまったらまず無理。大まかでいいから重なりそうなプロジェクトの時間も見積もっておく」

 長期プロジェクトを管理する時、週間スケジュールと長期スケジュールが別々のページだと読みにくい。「一緒に確認したいので、私は長期スケジュールをしおりみたいに挟んで使っている」という。

オレの責任、オレが決めた、オレができる――そのスケジュールできますか?

 タイムマネジメントで重要なのは「責任感」「自己決定感」「自己効力感」。自己決定感というのは、誰かに決められているというのではなく、自分で決めている感覚だ。自己効力感というのは自分でコントロールできている感じ。「やれるぞ!」という感覚。例えば自己効力感がないのは囚人。むしろ「脱獄してやる」ぐらいが自己効力感があると言える。

 ほかの人を巻き込んで進めるプロジェクトの場合、関係者に自己決定感と自己効力感を感じてもらうことが大事になってくる。決まったことを投げかけるだけでなくて、考えてもらうと自己決定感を醸成できるのだ。「次の3カ月、君の仕事はどんなものがあるのか? ということを書き留めておく時間を作る。3カ月ぐらいなら誰でも何となく分かる。あるプロジェクトのために使える時間も見えてくる」


 「2009年後半を充実させるためには、時間をどうやって作るかにつきる」と水口さん。「やりたいことが今1つできていない人は、やらなければいけないことに追われている。『絶対やらなければ行けないこと』を整理しないと『できればやりたいこと』はできない」――。

 手帳の学校、次回は7月11日。自分自身のやりたいことをやるために、あなたのスケジュールも見直してみてはいかがですか?

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