『経営の未来』――現場が会社を動かす藤沢烈の3秒で読めるブックレビュー

部署、役割、上下関係をあえてあいまいにするのが未来の組織像だ。『コア・コンピタンス経営』で著名なゲイリー・ハメル教授が、近未来に求められるマネジメントとは何かを説明する。

» 2009年07月03日 14時59分 公開
[藤沢烈,Business Media 誠]

 『コア・コンピタンス経営』で著名なゲイリー・ハメル教授の近著『経営の未来』。Google、Whole Foods Marketを例に、近未来に求められるマネジメントとは何かを説明する。

現場によるマネジメント

 部署、役割、上下関係は従来の会社では明確に決まっていたが、あえてあいまいにするのが未来の組織像だ。

 自然食品小売の米Whole Foods Marketでは、店舗ごとに8つのチームがあり商品の値段はチームで決める。採用の際には、チームの3分の2以上の票が必要になる。ゴアテックスで有名な米W.L. Gore&Associatesには組織図も上司もない。評価は年に1回、同僚同士で行われる。米Googleにおけるチームは平均3人単位で、戦略策定には全社員が参加する。

 国も業界もこえて競争が激化する中、現場の知恵を生かすマネジメントがますます必要になるだろう。

影の経営チームを創る

 官僚的な会社にいても諦めることはない。若手メンバーが結集して、影の内閣ならぬ影の経営チームをつくることをお勧めする。会社の組織図や評価とは別に、勝手に事業チームをいくつも創るのだ。芽が出そうになったら、理解してくれる役員に直訴すればよい。私が知る大手企業の新規事業は、大抵そのように生まれている。社内ベンチャー制度など待っている必要はない。

著者紹介 藤沢烈(ふじさわ・れつ)

 RCF代表取締役。一橋大学卒業後、バー経営、マッキンゼーを経て独立。「100年続く事業を創る」をテーマに講演・コンサルティング活動に従事。創業前の若者に1億円投資するスキームを企画運営し、話題を呼ぶ。「雇われ経営参謀」として500人以上の経営・企業相談を受けてきた。ブログに毎日書評を掲載し、現在1000冊超。


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