取引を成約に結び付ける“ORDER”モデルとは売れるコンサルティング・セールスへの5つの道(1/3 ページ)

クライアントの成功を手助けするためのスキルや原則はいくつかある。今回は、取引先を開拓する方法を専門知識レベルで一般化した「ORDER」モデルを紹介しよう。

» 2009年06月30日 16時52分 公開
[マハン・カルサー, ランディ・イリッグ, (訳)フランクリン・コヴィー・ジャパン,Business Media 誠]

連載「売れるコンサルティング・セールスへの5つの道」とは

 連載「売れるコンサルティング・セールスへの5つの道」は、フランクリン・コヴィー・ジャパンの書籍『ヘルピング・クライアンツ・サクシード』から抜粋したものです。営業マンと顧客の関係をどうすれば、長期間に渡る良好な関係を築けるか――そんな疑問に答える連載です。


 クライアントの成功を手助けする方法は1つではないが、ビジネスの課題に対して我々が行う診断や処方に大いに役立つ批判的思考スキルというものがある。本書ではこれらのスキルや原則をまとめて「ビジネスIQ(または単にIQ)」と呼ぶこととする。

基本的前提その4:手法がモノを言う

 価値の創造は用途、機能、プロセス、事業体、組織あるいは市場のどこで、どのように行われているのか、我々は賢明な見きわめができるだろうか。自分の信念に対して批判的な検討や、知的な分析ができているだろうか。我々の思い込みや固定観念を検証し、本能的直感とデータを程よく両立させたり、主要な問題について証拠やインパクトを収集したり、過去・現在・未来の重要な障害に立ち向かったり、体系的思考を応用したりといったことが、ビジネスIQを磨くことになる。

 また、クライアントとコンサルタントの関係の質を飛躍的に向上させるコミュニケーション・スキルや人間関係スキルもある。本書ではそれらを「EQ」と呼ぶ。クライアントが考えや気持ち、信念などを自由に述べてくれるような、安心と信頼に裏打ちされた関係は、どうしたら築けるだろうか。クライアントは自分の信念を我々に検証・探究されるとき、どう感じているのだろうか。彼らはどれくらいの情報を明かしてくれるつもりか。主要な利害関係者との接触を認めてくれる気持ちはあるだろうか。EQはこうした疑問に答えを出してくれる。

 更にもう1つ、時間の節約、生産性の向上、資源の有効活用、付加価値を生まない活動の排除などを実現してくれるプロセス・スキルや実行スキルがある。

 我々はこれを「実行指数(xQ)」と呼ぶ。クライアントとコンサルタントの両方にとって有効で、一貫性と柔軟性があり、反復可能なプロセスを実行したり、継続的改善を可能にするフィードバック・プロセスを築いたりすることが可能になる。

 業界のトップに君臨するような優秀なコンサルタントは、こうしたスキルを併せ持っている。IQとEQとxQをスムーズに融合させているのだ。


IQかEQか

 私は以前、世界有数のコンサルティング会社と取引があった。その会社のスタッフは、寝てもさめてもIQを追いかけていた。それで、クライアントの中には彼らのことを、「人間味のないインテリ」と評する人たちもいた。会議でアイデアを提案するときなどは、まさにピラニアが獲物に群がるようだった。全員が出された案めがけて突進し、ズダズタに切り裂いた挙句、それでもまだ何か残っているとようやく、「こいつは良さそうだ」などと言うのだ。

 彼らにとっては、それは一種の批判的思考として有効だった。だが問題は、彼らがクライアント相手にこの「ピラニア的行動」に及んだ場合で、クライアントの目には非常に横柄で不愉快で、恐らく威嚇的に映った。社内的にうまく機能するやり方を手加減なく外部に用いてしまうわけで、状況に応じてスタイルを変える柔軟性に欠けていた。

 この会社がシステム導入を自らの戦略の主要な柱に据えたとき、こうした融通性の無さが大きな障害になった。クライアントの我慢は2、3週間、長くても2、3カ月が限界だった。クライアント(および彼ら自身)の成功を手助けするためには、まず彼ら自身のEQを飛躍的に伸ばす必要があった。

 我々が取引した中には、逆にIQよりもEQのほうがずっと優れている企業もあった。ある会社は、クライアントとの間に調和と信頼の関係を築くのが飛び抜けてうまく、しかもその背後には品質という裏づけもあった。だが彼らには、自分たちのサービスを現実の結果へ結びつける思考力が欠けていた。クライアントの成功を手助けするうえでこれが大きな足かせとなり、彼らの潜在的成長力を妨げた。クライアントを本当に成功させるためには、IQとEQの両方がそろっていなければならないのだ。どちらか片方が欠けると、致命的な欠陥となる。

 IQとEQの能力をいかに具体化していくか(xQ)として考えると、IQ、EQ、xQの関連がわかりやすくなるだろう。更に、その考えは検証することができる。適切なデータと事例報告をもとに以下の見きわめが可能になる。

  • 我々が行っていることは、我々が求める結果を生み出しつつあるか。
  • 生み出していれば、それを強化・反復し、評価し、改善する。
  • 生み出していなければ、その理由は次のどれか。
・その手法を実際に応用していない(応用機会を増やす)
  • その手法を上手に応用していない(スキルを高める)
  • 手法に問題がある(徹底的に分析し、評価し直して取り替える)
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