広報室をサポートせよ――会社勤め独特の“筆力武者修行”樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」

世のフリーライターが真似できない方法で、ビジネスパースン独特の筆力武者修行の場がある。それは広報室だ。社内向け広報であれば“素人記者”のあなたにも修行と活躍の場があるかもしれない。

» 2009年06月26日 16時45分 公開
[樋口健夫,Business Media 誠]

 世のフリーライターが真似できない方法で、ビジネスパースン独特の筆力武者修行の場がある。それは広報室だ。広報室は、社外と社内に広報するという2つの面を持っている。社外はおいておくとして、社内向け広報であれば“素人記者”のあなたにも修行と活躍の場があるかもしれない。

 まずは広報室をノックして、担当者に「○×営業部の××と言いますが、ちょっとお聞きしたいことがありまして」と聞こう。最初は「はあ、何でしょうか?」といぶかしむかもしれない。

 そこで社内広報誌に「新規お客様訪問」や「重要お客様工場訪問記」「お客様研究所訪問」というコーナーを作らないか提案するのだ。

 「我が部で新規開拓中の重要顧客6社を選んで、その訪問記を掲載させていただけませんか」「なるほど。それは営業対策、営業支援ですね。ちょうど、私たちも新しい広報誌の紙面の計画を立てようとしていました。課長と一緒にお話をお聞きできませんか」――となるかもしれない。

 営業的にも意味がある。重要顧客へのアプローチとして社内報を使うのだ。相手を訪問したり、話す機会も作れる上、うまくすれば相手の工場や研究所を訪問して将来計画を聞き出して、営業拡大の計画を立てられるかもしれない。社長や役員などのインタビューもありだ。少なくとも直接売り上げを上げに訪問するわけではないから、いつもの正面攻撃の営業よりも多少リラックスして話ができるはず。

 社外に配る広報誌では、ほかの顧客との関係もあって効果は微妙だが、社内であれば別。「あの会社が使ってくれているんだ」と知ってもらったり、「じゃ、あの会社の製品も逆に使ってみよう」という相互に好意的な関係も作れるかもしれない。

 最終的には「原稿は責任をもって私が書きます。いかがでしょうか」と押し込めば、たいてい「いいですよ」となるはずだ。「それは素晴らしい」とまではならないにしても、広報室が怒り狂う提案ではない。

 一方、社内では社長、役員たちから新人、関係会社、社員の家族まで、営業の重要客先の再認識をしてくれるだろう。だいたい、どこの会社でも広報室と役員室は近いところにある。あなたの名前も簡単にあちら側に伝わっていく。

 しかし、広報誌の記事執筆はあくまで仕事にとって役に立つことを前提としている。広報関係のために、四六時中忙しくして、本来の仕事が放置されるとなると、これはもうまったく話にならない。本業あっての“副業”なのだ。

 何? あなたの会社に広報室も広報誌もないって? じゃ、あなたが作りなさい。その時は、胸を張ってあなたが広報室長になればよい。

今回の教訓

 営業と広報とWin-Win。顧客も喜べばWin-Win-Winになるかも。


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著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。近著は「仕事ができる人のアイデアマラソン企画術」(ソニーマガジンズ)「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちらアイデアマラソン研究所はこちら


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