「不安のタネ」を探すには、GTDよりマインドマップあなたの不安、見積もります

人はよく「漠然とした不安」を口にします。しかし、実は問題は漠然となどしていなくて、非常に具体的なものであるはず。「不安のタネ」を見つけるために、マインドマップが有効な理由を解説します。

» 2009年06月11日 11時00分 公開
[佐々木正悟,Business Media 誠]

ビジネスパーソンの不安ポイント

 タスクや約束を忘れるというのではなく、仕事をしていて「漠然とした不安」に襲われることがあります。具体的な原因が分からないだけに、対策が考えつきません。どうしたらよいでしょう?


 前回は、「その日のうちにやるべきタスクをすべて書き出す」という方法で、優先度の低いタスクから片づけるべき理由を紹介しました。しかし、今回のような悩みをお持ちの人は、その日のうちにやるべきタスクだけでなく、「気になるすべてのことを書き出してみる」という方法を試してみるとよいでしょう。

 この方法はGTDなどでよく紹介されていますが、今回のようなケースについては、マインドマップを使ってみるとよいと思います。リストを個条書きにするGTDに比べて、マインドマップで書き出してみた方が問題の深堀りがしやすく、連想も広がりやすく、何よりも心理的抵抗が薄められるはずだからです。マインドマップで「自分が普段、はっきりと意識してはいないが不安に思っていること」を探り当てるのです。

 GTDなどを使うと、書き出したリストは基本的に「タスク」として認識され、全部ではないにせよそれらは「やるべきこと」に見えるため、「書けば書くほど気が楽になる」とはいかない可能性もあります。

 しかし、お悩みのケースでマインドマップを使った場合、たとえ1つでも「漠然とした不安の原因らしきこと」が見つかったら、もうそれで十分ですから、気になることをどんどん書き出していけばいいのです。「これだ」という不安の根源のようなものが1つでも見つかったら、次にはその問題への対策を考えればいいのです。

不安のタネは忘れかけていることもある


 「そんなことをせずとも不安の根源など明らかだ」という人は、何もこのような方法をとる必要はありません。

 しかし、人はよく「漠然とした不安」を口にします。実はそれは、決して「漠然と」などしていなくて、苦手な同僚が会社にいるとか、ずっと気になっていた案件が延び延びになっているとか、非常に具体的かつ明らかな「問題」を抱えた結果であることが多いのです。

 しかし、不安の根源が非常に具体的だとすれば、ただそれに対処するしかなくなりますから、これをあえて「あいまいに」しようとする心の働きがあります。疲れているときなどに、こうしたことはよく起こります。そして、そのうち本当に問題がどこにあったのかを忘れてしまうのです。

 ただ、意識の上ではほとんど忘れてしまっても、もとより「何とかしなくてはいけないこと」ですから、意識の奥底では「不安のタネ」として残り続けます。その結果「漠然とした不安」に悩まされることになるのです。

 そんな心の底にある「不安のタネ」をもう一度引っ張り上げてきて、意識の明るみのもとで処理する。このプロセスをなんどか繰り返せば、「漠然とした不安」で悩むことはなくなります。マインドマップは、そんな使い方もできるのです。

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筆者:佐々木正悟

 心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


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