『1分間マネジャー』――若手も知りたいマネジメントのコツ藤沢烈の3秒で読めるブックレビュー

マサチューセッツ工科大ビジネススクール教授が書いた1冊。「1分間」とのタイトルから、浅薄な管理理論との誤解が多いが、本質は異なる。ポイントは、時間を減らすよりも頻度を上げること――なのである。

» 2009年05月22日 11時00分 公開
[藤沢烈,Business Media 誠]

 マサチューセッツ工科大ビジネススクール教授であるケン・ブランチャードが書いた『1分間マネジャー』。米国で1982年に出版された同書は、物語風のビジネス書として一世を風靡(ふうび)し、世界中で700万部以上売れた。

コミュニケーション頻度を上げる

 「1分間」とのタイトルから、浅薄な管理理論との誤解が多いが、本質は異なる。

 チーム全員が週に1回集まって1人ずつ発表させるのが、伝統的な管理法だろう。報告と議論が混じるため、5〜6人の参加であっても2〜3時間はかかってしまう。

 1分間マネジャーでは、1人1分ずつ個別に、しかし毎日マネジメントを実施するのである。現実には1人5分程度かかるが、それでも会議型管理よりはマネジャーの時間負担は小さくなる。

 「多人数、少頻度」よりも「少人数、多頻度」がコミュニケーション上、効果的との考え方である。時間を減らすよりも頻度を上げることに、1分間マネジャーの本質があるのだ。

上司を1分間マネジャーに

 「上司がリードしてくれない」との不満を現場でしばしば聞く。そんな場合は1分間マネジャーへ上司に変化してもらおう。

 本書を渡す必要はない。自主的に日報を書くのである。メール上で、自ら1分の間に目標設定を書いて上司に送る。アクションの結果も送る。反応がなくとも、上司にほめられるか叱られるか想像すればよい。

 若い頃から、関係者のマネジメントや自律的な仕事が求められる時代だ。本書を読んで、自分にとってのマネジメントを考え始めたい。

著者紹介 藤沢烈(ふじさわ・れつ)

 RCF代表取締役。一橋大学卒業後、バー経営、マッキンゼーを経て独立。「100年続く事業を創る」をテーマに講演・コンサルティング活動に従事。創業前の若者に1億円投資するスキームを企画運営し、話題を呼ぶ。「雇われ経営参謀」として500人以上の経営・企業相談を受けてきた。ブログに毎日書評を掲載し、現在1000冊超。


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