やりたいことはやるな、できることをやれ――“最善”の選び方達人のクリエイティブ・チョイス(2/2 ページ)

» 2009年05月11日 12時30分 公開
[鷹木創,Business Media 誠]
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自分自身か、経験か――いずれにしても突き詰めて

柳澤さん

 一方、直感力を鍛えるのは難しい。「直感で進めて外した時というのは、恥ずかしかったりもします。でも、会社としては失敗を恐れずにサービスや製品をいっぱい出して、個人も恥ずかしがらずにアイデアを出す。量を出して、外しながら精度を上げるしかないですね」(柳澤さん)

 それに直感力で出てきたアイデア自体がいいものかどうかを判断する能力と、そのアイデアがビジネスとしてどう発展していくかどうかを判断する能力は別々のもの。「アイデアを見たり聞いたりして、いいねと思うのは批評のスキル。過去の経験則で、ある程度鍛えられますが、その先を見通す力はなかなか付けられない」

 柳澤さんはこうも言う。「みんなが『いいね』、というものは世の中に出回っている可能性が高いです。むしろ、アイデアを出した本人だけがその可能性を確信しているようなプロジェクトのほうが成功するのではないでしょうか」。成功する人間は2種類いるという。「自分の思いを突き詰めていく人か、経験を積んでいいもの作る人。若手で成功する場合は、経験がないから前者のパターンが多い。だからオリジナリティの高いものができるのかもしれないですね」

 細谷さんもこの考えに同意だ。「直感は、『真っ白』のところから出てくるものだと思う。この『真っ白』の出し方が2つあって、何もないから『真っ白』なのか、いろいろと経験して『真っ白』の境地にたどり着くのか。昨日学んだことがそのまま出てくるのは『真っ白』じゃない。学んだことを突き詰めて、『真っ白』になるまで考えて出てくるのが職人的な発想なのかもしれません」

やりたいことはやるな、できることをやれ

 思いや考えを突き詰めるために「やりたいことはやるな」というのは柳澤さん。「天才的な人のコメントはほとんど『できることをやっていました』です。やりたいことはだいたいずれています。できていることをやったほうがいい。今それしかできないなら、それをやっていればいい。上手にできていることを突き詰めていけば、何となく見えてくるはずです」

 「優秀な営業マンはいつもクリエイティブ・チョイスをしている」(細谷さん)。「自社製品のラインアップに相手のニーズがマッチしない場合、『何が必要なんですか?』と聞き出すことが大事」。完全にマッチする商品はないが、既存の商品を組み合わせてソリューションを提示したり、価格が高いと言われたら、そこで「値引きします」と回答せず、新たな価値を提示して納得してもらうことがクリエイティブ・チョイスなわけである。

 堀内さんは「個人的な思い入れがクリエイティブ・チョイスを生む」という。「転職結婚はもちろん、ケガや事故などで自主的でない選択を迫られた時、誰でもクリエイティブ・チョイスをしているはず。そうしたイベントが起きてしまってからどうするか、(人生の)物語を書き直して、筋を通していくことで最善の選択を創り出していけるのではないでしょうか」

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