人を動かす話し方講座:「とくダネ!」の小倉さんに学ぶ――発言が活発になる議事進行術
会議の議事進行役をやるときに「参加者から意見を引き出すことができずに困っている」という人も多いでしょう。今回は、「沈黙が続くような会議」を「活発に発言が出るような会議」にするための議事進行術をご紹介します。
ビジネスパーソンの皆さんは、会議やミーティングを行うこともよくあるかと思います。議事進行役をやるときに、参加者から意見を引き出すことができずに困っている、という経験はありませんか?
今回は、そんな「沈黙が続くような会議」を「活発に発言が出るような会議」にするための議事進行術についてお話ししましょう。
「とくダネ!」の小倉さんに見る議事進行の妙
うちは毎朝フジテレビを見ています。だいたい7時過ぎに起きて、テレビを見ながら支度をし、事務所に行くのは9時近くになってから。いつも「めざましテレビ」を見てから「とくダネ!」を見て家を出る、というのがほぼ日課になっています。
その「とくダネ!」を見ていて気がついたのですが、メインキャスターの小倉さんの話し方、実によく考えられていますね。
番組をご存じない方に向けてちょっとだけ解説しておきますと、この番組のコンセプトは「事件や事故に芸能ニュースまで、全部まとめて“情報プレゼンショー”」とうたっております。つまり一般のニュース番組とは違い、メインキャスターの小倉さん含め、キャスターやコメンテーター達が、プレゼンターが提供する情報に対して丁々発止で話し合う、という番組なんですね。
朝の生放送で、しかも大まかな進行台本はあるものの、いつ誰がどんな発言をするか、といったようなことは決まってはいないでしょう。ですから、この番組で発言が活発になるかどうかは、小倉さんの進行の腕にかかっている、と言っても過言ではありません。
さてその小倉さん、コメンテーターに対して話を振るときに、とある工夫をしているようなのです。私自身もちょっと前に気づいて、それ以来その点について意識しながら彼の話を聞いていたんですが、ほぼ間違いなく同じようなスタイルで話を振っていたので、きっとご本人も意識してやっているのではないかと思います。
「不用意な沈黙を生まず、実のある発言を参加者から引き出す工夫」とは、いったいなんだと思いますか?
テクニック:沈黙を生まない質問の方法とは?
これを読んでいるおそらく全ての方が、発言が活発に行われない、議論がいまひとつ盛り上がらない、というミーティングを経験したことがあるでしょう。
例えば、あなたが進行役であったとして、
「この件について、○○さんはどう思いますか?」
と問いかけても、
「えっ! う、うーん……」
と一瞬動揺したのちに、押し黙られてしまう。こんな時、質問した側は「なんか一言くらい言えるだろう!」と思ってしまいますよね。しかし逆の立場で考えると、問われても答えられないのは無理からぬ話なんです。
なぜなら、自分が意見を述べる準備など全くしていない状態の時に、突然自分に向かって「どう思いますか?」と言われてしまうわけですから。こういう状態になったら、たいていの人は答えに窮してしまいます。
普通の人より人前で話し慣れている私ですら、こんな唐突な振られ方をされたら、答えに詰まってしまうことでしょう。だから進行役の人は、質問した人に対して、きちんと答えられるように気遣いをする必要があるのです。
これをしっかりやっているのが小倉さんの進行術なんです。小倉さんは質問する前に、必ずと言っていいほど、
コメンテーターに発言の準備時間を与える
んですよ。具体的には、コメンテーターの方に話を振るとき「○○さん、どう思いますか?」という問いかけ方はまずしません。
ではどうするかというと、「○○さん」とまず問いかける人の名前を呼び、そのあとで「この事件についての〜」とコメントが欲しい話の概略を話し始め、最後に「どう思われますか?」と問いかけるのです。
すると、コメンテーターの方は、名前を呼ばれたときに、まず自分が答える番だと自覚し、心の準備をしながら答えるべき内容を聴くことができます。また、その質問の内容を聞きながら、自分の意見をまとめる時間が与えられます。だから最後の「どう思われますか?」という問いかけの時には、ある程度のコメントが頭の中に準備できている、という状態になるわけです。
ミーティングで出席者から発言が出ないと悩んでいる方には、この運営方法はきっと役に立つことと思いますよ。
マインド:心の準備をしっかりさせよう
要するに、発言を活発にしてもらうためには、参加者の人達自身が発言するという自覚と心の準備をいかに事前にやっておいてもらうか、という事にかかっているんです。では、この考え方をさらに推し進めていくと、いったいどんなことになるでしょうか?
お勧めの方法は、ミーティングが始まる前から発言してもらいたい内容を決めておくというもの。ミーティングに招集をかける前に、
「今度は○○の件について、皆さん一人一人からコメントを頂きますので、考えておいて下さいね」
とあらかじめ振っておけば、参加者も事前に考えておくことができますし、心の準備もできていますから、全くコメントが出ずに悶々とするという状態は避けることができます。また、「ただいるだけでいいんでしょ」といった参加意識が薄い気持ちでミーティングに参加してくる人もいなくなることでしょう。さらには、ミーティングの主題についても皆さんそれぞれが考えを巡らせてきてくれるので、中身の濃い話し合いになる可能性も高まることでしょう。
ミーティングが成功するか否かは、実はミーティングの前の準備で決まるのです。活発な話し合いをするためのミーティングをしたければ、ミーティングが始まる前から、「参加者の方たちが発言できるような心の準備」をしておいてもらうような工夫を、ぜひ考えてみて下さいね。
著者紹介 水野浩志(みずの・ひろし)
マイルストーン代表取締役。「社会に活き活きと働く大人たちを生み出す」をスローガンに掲げ、リーダーシップやモチベーション創造、自己表現力養成をテーマにした企業研修や公開セミナーを実施。また研修・セミナー講師向けに、具体的な成果を生み出す効果的なカリキュラムの構築手法や講師としてのマインド、人間力創りの指導も行っている。現在、日刊(平日)で、メールマガジン「1回3分でレベルアップ! 相手の心を掴むトーク術」を発行中。
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