『自由からの逃走』――企業社会で自由であり続けるには藤沢烈の3秒で読めるブックレビュー

ビジネスに効く1冊の本質を、3秒で理解できるようにチャートでご紹介する書評連載「3秒で読めるブックレビュー」。第3回はユダヤ人心理学者エーリッヒ・フロムの『自由からの逃走』を取り上げます。

» 2009年04月17日 18時00分 公開
[藤沢烈,Business Media 誠]

 「3秒で読めるブックレビュー」第3回は、ナチスに追われたユダヤ人心理学者エーリッヒ・フロムの『自由からの逃走』を取り上げたい。ドイツ人は自由を捨てて、なぜ全体主義に走ったか。日本人は軍国主義になぜ協力をしたか。その理由が説明される。自由に生きることのできる、現代人こそ読むべき名著である。

“不自由な安心”を求める個人

 「個人」というコンセプトを得て、自らの判断で生きていく自由を近代人は手に入れた。ただ逆効果もあった。コミュニティ/国/神に従いさえすれば得られる安心を、自由と引き換えに手放す結果になったのだ。その後不安にかられた近代人は、父のような権威を求めて、自由をあえて捨ててしまう。

 自由かつ安定した道に進むには。芸術家や科学者のように、自発的に何かを創造することが不可欠とフロムは考えた。


企業社会で自由であり続けるには

 終身雇用は崩れ、若いビジネスパーソンは個人として生きることが求められる。ゆえに一歩間違えれば、新興宗教やネット右翼といった現代のファシズムに向かうリスクがある。

 社内で新しい事業、例のないコンセプトを生み続ける。プライベートではブログや勉強会で自分なりの考えを発信し続ける。自由であり続けるためにこそ、必要なことである。

著者紹介 藤沢烈(ふじさわ・れつ)

 RCF代表取締役。一橋大学卒業後、バー経営、マッキンゼーを経て独立。「100年続く事業を創る」をテーマに講演・コンサルティング活動に従事。創業前の若者に1億円投資するスキームを企画運営し、話題を呼ぶ。「雇われ経営参謀」として500人以上の経営・企業相談を受けてきた。ブログに毎日書評を掲載し、現在900冊超。


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