前回は「個条書きの弱点」について説明しました。今回は実際に個条書きの「各条を横断するストーリー」が見えるようにテキストを書き直してみます。
前回は、営業コンサルタントの庄司充(しょうじ・みつる)さんが営業マネジメントについて語るときに使うテキストを題材に、「個条書きの弱点」について説明しました。
前回のまとめ
- 個条書きはストーリーを語るのには向いていない
- ストーリーがないと人の印象に残らない
- 個条書きだけで満足しないように!
今回は、実際に個条書きの「各条を横断するストーリー」が見えるようにテキストを書き直してみましょう。
まずは原本を再掲します。
ご覧の通りこのページは、営業チームをマネジメントするときに考えなければならない「4つの領域」について、大まかに語ったものです。実際のセミナー場面での想定トークについては前回記事中の囲みをご参照ください。
さて、これをどう書き換えるかですが、カギになるのは、プロセスとナレッジとスキルの関係です。この3要素にどんな関係があるのかを見極めると、いいアイデアが出てきます。
しかしその前に、少し一般論を説明しておきましょう。
開米 個条書きでは、通常、1カ条につき1つのことを説明しますよね?
庄司 そうですね。
開米 仮に3カ条でそれぞれそれぞれA、B、Cについて説明していたとしましょう。
庄司 A)ドラえもん、B)のび太、C)ジャイアン――みたいな感じでいいですか?
開米 はい、いいですねえ。で、そこで一番手っ取り早いのは、A、B、Cの間に順番をつけてみることなんです。個条書きの各条の間の関連性を探すためには、とにかく何でもいいから順番をつけてみるのが早道です。
庄司 えーと、ドラえもんとのび太とジャイアンにでも順番ってつけられます?
開米 つけられますよ。例えばですね、
ジャイアンがのび太をいじめるので、のび太はドラえもんに泣きつく
という関係をイメージすると、そのまま早いのは、C)ジャイアン→B)のび太→A)ドラえもん というAという順番になりますよね?
庄司 あ、その程度の話なんですか。
開米 そう、この程度の話なんです。で、この程度の話が分かると、こういう図を書けるはずです。
庄司 ……順番変えて、矢印引いただけ?
開米 そう、順番変えて矢印引いただけです。これが大事なんですよ。これ、ストーリーになってますよね? こういうストーリーに合わせてテキストが図解されていると、とても説明しやすくなるんです。
庄司 なるほど……それだけの話なんですか!
開米 それだけの話なんです! でもこの「それだけの話」をやっている人が少ないんですよ。
庄司 確かに(笑)。私もやってませんでしたし。あはは。
開米 まあドラえもんだから簡単そうに見えるので、実際のセミナーテキストなんかでやろうとすると難しかったりしますけどね。
庄司 ドラえもんの話ですもんね、簡単ですよね。あ、でも、別な解釈というか、別なストーリーがあったらどうするんですか? 例えばこの例にしても、ドラえもんがのび太にひみつ道具を与えて、のび太がジャイアンに逆襲するというストーリーもできますよね?
開米 それはそのまま書き足せるはずです。
庄司 あ、そうかこういうことですか。
開米 そうそう、それですよ。これで、「いじめる→泣きつく」という下向きのラインと、「ひみつ道具→逆襲」という上向きのラインが連動して全体でひとつのストーリーになりますよね。
庄司 そうかあ、そうですね。
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