ハブからの紹介がなかなか得られない場合、手っ取り早く「異業種交流会」に出ればいいと考えている人もいると思う。しかし、これまたあまり勧められない。というのも、異業種交流会は玉石混交。さながら、いいものも悪いものも同じように並んでいるお店のようなものだからだ。
前回は、ハブとなる知人からの紹介について書いた。ある意味、その人のセンスに合わない人はフィルタリングされているので、マトモなハブから変な人脈が生じる可能性は低い。
とはいえ、私にはこんな失敗がある。「どうしてもある特定分野の人を紹介してほしい」とあまり親しくない人にこう頼まれ、自分の人脈を紹介したことがあるのだ。「あまり親しくないのに、ずうずうしく紹介を求める人ということは失礼な人だし常識がない」。その場でそう判断していればよかったのだが、自分の大事な人脈を紹介してしまった。
結果として、そのあまり親しくない人がちゃんと連絡もせずに消えてしまったことがあった。これが起きると「加藤さんの紹介ってイマイチかも」というイメージが定着してしまう可能性がある。最近はそうならないよう、よく知らない人に人を紹介するのは控えようと思っている。
人の紹介がなかなか得られない場合、手っ取り早く「異業種交流会」に出ればいいと考えている人もいると思う。しかし、これまたあまり勧められない。
まず、異業種交流会の多くが玉石混交である。あなたはH&Mの店内に入ったことがあるだろうか? リーズナブルな価格で、さまざまな洋服が並んでいるが、よく調べて購入しないと、着こなしの難しいアイテムが結構ある。ここからリーズナブルであるのに「使える」服を見つけるのは、相当な目利きである必要がある。H&Mで選んだ服は、下手すると奇抜なコーディネートになってしまうのだ。
また、いきなり知らない人の中にぽつんと入って、あなたは大丈夫だろうか?私はそれほど積極的な性格ではないし、緊張してしまうから、そんなにたくさんの人に話しかけて名刺を集めまくるというのは難しいタイプだ。同じ業種であれば、共通の話題も見つかりやすいが、まったくの異業種となってしまうと、共通の話題を見つけることも難しかったりする。
そんなこともあり、私の場合、異業種交流会は、よほどのことがなければ出ないことにしている。出るのはIT業界の集まりやベンチャー社長の集まりなどの、信頼できる人がやっている“同業種交流会”が多い。もしくは、自分で主催してしまうことも多い。主催者であれば、自分の会いたいタイプの人を集めるような会をデザインすることもできる(その分時間と手間はかかるが)。
その点、ハブはセレクトショップに近い。すでにセンスある人が選んだものだけしかそこにはない。フィルターがかけられた後であるので、お値段は張っても、それなりの商品が残るのである。
ということで、時間が有り余っているとか、どうしても行かなければならないという大義名分がない場合は、異業種交流会はお勧めしない。まず何か集まりに出たい人は、知りあいが開催している、同業種交流会がお勧めだ。
IT誌の記者・編集者を経て、米国ナスダック上場IT企業の日本法人にてマーケティング・広報の責任者を歴任。外資系企業ならではの本社へのリポートの方法や、離れた地域にいる国籍の違う同僚とのコミュニケーションを通じて、効率よく実施する仕事のノウハウを高める。現在は、その経験を生かし、IT企業・組込み系システム企業のマーケティング・PR(広報)のコンサルティングを行うビーコミの代表取締役として活動。日本PR協会認定PRプランナー。
日経BP社、翔泳社、アイティメディア、ダイヤモンド社、アスキーなどで連載や記事も寄稿。インターネットを活用したコミュニケーションも研究しており、複数の学会などでブログコミュニケーションやネットPRに関する発表をしているほか、「CGMマーケティング」(伊地知晋一著、ソフトバンククリエイティブ刊)の編集協力も務めた。青山学院大学国際政治経済学研究科修士課程修了。現在は某大学院の博士課程に在籍し、引き続きコミュニケーションを勉強中。
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