ハブは誰か?アラフォー起業家の“継続拡大”人脈術

「異業種交流会に出ない」「年賀状はほんの少し」――。そんな元OLが起業し、上場企業と取引をするまでの会社を経営している。彼女が人脈をどう考えているのか。その一端をご紹介しよう。

» 2009年04月08日 10時06分 公開
[加藤恭子,Business Media 誠]

 不景気のせいか、経済的なつながりよりも人と人とのつながりを重視する傾向がますます強まっている。いわゆる人とのつながりを作る「人脈本」も注目を集めているようだ。とはいえ、異業種交流会に頻繁(ひんぱん)に顔を出し、半ば強引に著名人と名刺交換をしても、それは生きた「人脈」にはつながらない。単なる「名刺コレクション」になってしまいがち。そのような名刺コレクター的な発想ではなく、人と人とのつながりを大切に保ちながらも、人間関係を長期に継続し広げていく方法を考えていく。


 自分の友人や大事な知り合いはそもそもどこでどうやって知り合ったのだろうか。普段はあまり考えてもみないことだが、時にはじっくり考えてみたい。私の場合、なぜか特定の人から紹介された人と意気投合したりする。ごく少数のハブとなる人に紹介された人や、その人に勧められた会合で知り合った人とよい関係を築けることが多いのだ。

 例えば、2008年に会社を買収して社長になった、友人のAさん。さりげなく気にかけてくれ、必要な時には、必要な人を紹介してくれる。普段頻繁に会うわけではないのだが、こちらのニーズを汲み取る力が高い。また、有名コンサルティングファーム出身のBさん。この人は私の性格もよく分かってくれているようで、「○○という会社のXXさんに会いに行くといいと思います」などと言われ、言われるままに会ってみたら、即刻、意気投合ということもあった。

 そのような理由で、私はできるだけその「ハブ」となる人と適宜コミュニケーションを取るようにしている。振り返ってみると、社会人大学院関連で知り合った人モチベーションの高い元上司は、私にとって的確な人を紹介してくれることが多い。もともと、会社というつながりに捉われず、向上心の高い人の集まりでもある。一緒に何かの活動をしていると、その人が社内に閉じているのか、社外ともちゃんとコミュニケーションしているか、また尊敬できる人柄かなどということも分かってくる。マトモな人の紹介はやはりマトモであり、幾分エキセントリックで個性的で楽しい人の紹介は、やはり刺激的な楽しい人だったりする。優秀で賢いベンチャー社長からの紹介は、やはりイケてるベンチャーの社長であるけど、イケてない人からの紹介は、イケてない人だったりする。

 ついつい忙しいと、この大事なハブとなる人とのやりとりをおざなりにしてしまうことがある。それはあまりにももったいない。先日は、あまりに久しぶりに「ハブ」的な人(某ビジネス誌の副編集長)にお会いしたところ「加藤さん、あまりに久しぶりに連絡をくれたので、結婚するとか、そういう報告だと思いましたよ」といわれ、反省した。

 いきなり知らない人に「人を紹介して」と言っても、マトモな人が紹介されてくる可能性は低い。よって大事な「ハブ」となる人は大事にし続け、また可能であれば、そのハブとなる人にも、的確な紹介をしてあげるようにしたいと思っている。さて、あなたの「ハブ」は誰だろうか。

著者紹介:加藤恭子(かとう・きょうこ)

 IT誌の記者・編集者を経て、米国ナスダック上場IT企業の日本法人にてマーケティング・広報の責任者を歴任。外資系企業ならではの本社へのリポートの方法や、離れた地域にいる国籍の違う同僚とのコミュニケーションを通じて、効率よく実施する仕事のノウハウを高める。現在は、その経験を生かし、IT企業・組込み系システム企業のマーケティング・PR(広報)のコンサルティングを行うビーコミの代表取締役として活動。日本PR協会認定PRプランナー。

 日経BP社、翔泳社、アイティメディア、ダイヤモンド社、アスキーなどで連載や記事も寄稿。インターネットを活用したコミュニケーションも研究しており、複数の学会などでブログコミュニケーションやネットPRに関する発表をしているほか、「CGMマーケティング」(伊地知晋一著、ソフトバンククリエイティブ刊)の編集協力も務めた。青山学院大学国際政治経済学研究科修士課程修了。現在は某大学院の博士課程に在籍し、引き続きコミュニケーションを勉強中。


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