「先輩へのリスペクトのない感じ」から成功に結びつける方法一目置かせる「役割別ビジネス会話」

WBC日本代表。優勝後のシャンパンファイトでイチローが「この先輩へのリスペクトのない感じが世界一につながった」と言っていた。ビジネスシーンでも「後輩がリスペクトしてくれない」「リスペクトどころか、言うことを聞いてくれない」と悩む上司も多いのではないだろうか。

» 2009年03月31日 11時41分 公開
[鷹木創,ITmedia]

 見事2連覇を成し遂げたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の日本代表。読者の記憶にも新しいのではないだろうか。野球好きの筆者としても3月のこの時期から盛り上がることができて、レギュラーシーズン前にオトクな気分を味わえた。

 野球だけでなく、「役割別ビジネス会話」を考えるBiz.IDの記者としては、イチローのこんな言葉も気になった。

 「この先輩へのリスペクトのない感じが世界一につながった」

3月25日付「シャンパンファイトで“無礼講”おおはしゃぎ」スポニチ Sponichi Annexより

 話としては、優勝後のシャンパンファイトでイチローが後輩の選手からシャンパンを掛けられまくったことについてコメントしているわけだが、以前に比べて上下関係が希薄になったと言われる現代社会において、「なんだか後輩がリスペクトしてくれない」「リスペクトどころか、言うことを聞いてくれない」と悩む上司も多いのではないだろうか。

 もちろん相変わらず上下関係が厳しい会社も多いとは思うが、今回は上下関係が緩やかな会社において、どのようなビジネスコミュニケーションが必要なのかを考えたい。

秘密基地を作るイメージ

 1つの解決策は、上司と部下とで目的を共有すること。WBCの日本代表には大きな目標があった。言うまでもなくそれは大会2連覇。この目標に向かって進めたからこそ、チーム内の意思疎通や意志決定もスムーズに行われたのではないか。

 本誌で社会人向けの勉強術などを紹介する水野浩志さんはこういう。「上下関係という立場で見ると、どうしても立場に沿った言動になってしまいます。同じ目的を目指す仲間だと思えば、上下関係に依存しない関係が作れるのではないでしょうか」

 「昔、近所の子供たち同士で秘密基地を作ったことはありませんか?」。基地を「秘密にする」という目的が共有されていれば、年齢も性別も異なる子供たちでさえ、“基地建設プロジェクト”を遂行できる――というわけだ。もちろん、わくわくするような目標の設定も重要だろう。

仕事仲間、ついつい分かった気になってませんか

 そもそも目的の共有が難しいほどコミュニケーションが取れていないというケースもある。多忙な職場で、時間に追われて仕事をしていると、ついつい目先の仕事ばかりに集中してしまい、大きな目標も見失いがちだ。

 「仕事だけだとコミュニケーションはうまくいかない。気持ちを見せ合うことが重要です」と指摘するのは、『なぜか挨拶だけで売れてしまう営業法』などの書籍を監修する木戸一敏さん。

 「仕事仲間は毎日顔を合わせているので、ついつい分かった気になってしまう。ただ、実際には仕事以外のことは知らなかったりします」。部下や上司に自分なりの意見を言いたくても「嫌な顔をされてしまうのではないか」「否定されてしまうのではないか」とマイナスの思いばかり先行してしまうのだ。

 木戸さんによると「気持ちを見せ合うことが重要です」。「どんな時にうれしいと思いますか」「元気が出る言葉は何ですか」「頑張り過ぎていることは何ですか」――というように単純な質問で構わないので、お互いに気持ちを見せ合うと「徐々に受け入れられている感が生まれます」という。受け入れられている感を醸成することで、個々人の意見を言いやすくするのである。

現場で「社内勉強会」

 こうした気持ちを見せ合う会は、「社内勉強会」として定期的に行うといい。「部下の大きい間違いは指摘できても小さい間違いは『まあ、いいか』と見過ごすことがあります。ですが、こうした社内勉強会で気持ちを見せ合うと、思いのほか部下が小さな間違いを気にしていたことが分かることがあります。上司としても『ああ、むしろちゃんと間違いを指摘した方が良かったな』と思いますよね」。

 通常社内勉強会というと、何かをテーマに有志を募って開催することが多いが、木戸さんの提唱する勉強会は、まさに「社内」を勉強するのである。木戸さん自身も「月に2回程度、1時間ぐらいの時間を取って実施しています」という。

 あまり人数がいると萎縮してしまうので、現場の最小単位で4〜5人ぐらいがオススメ。イチローたちも何度もお食事会を催したというし、上司と部下でコミュニケーションに違和感を感じているならば、社内勉強会をしてみるのもいいだろう。

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